コンサート寸評 1999年

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1999
タイトル 日付 会場 データ、感想
バッハ・コレギウム・ジャパン 降誕節コンサート 1999/12/23 東京オペラシティ コンサートホール [音楽監督]鈴木雅明 [曲]C.モンテヴェルディ:6声のミサ《イエスがこれらのことを言いたもうた時》, 聖母マリアの夕べの祈り
♪前半は声楽ソリスト達による澄んだ美しい響き。 後半は器楽を交えた多彩かつ豪華な響き。 バッハほどには馴染んでいない気もしたし、 やや単調に思えた部分もあったが、 器楽(特に管楽器は見事)も合唱も好調で、 素敵なクリスマスプレゼントをもらった気分。
ザビエル〜歌と古楽器で奏でるザビエルの時代の音楽 1999/12/03 聖イグナチオ教会 アンサンブル・エクレジア: つのだたかし, 波多野睦美, 太刀川昭, 江崎浩司, 岩淵恵美子, 福沢宏
♪前半にザビエルの時代の音楽、後半にヨーロッパ各地のクリスマス音楽。 会場の雰囲気にもふさわしい、神秘的なほど美しい音楽の数々。 とりわけ波多野さん太刀川さん二人の融け合う声の美しさは、まさに天上の響き。 広い聖堂だが、音は意外とよく届く。
折々の会 第7回サロンコンサート
チェンバロ&クラヴィコードによるバッハ親子の鍵盤音楽
1999/11/27 東松山北地区市民活動センター 渡邊順生(cembalo, clavichord) [曲]J.S./C.P.E./J.C.バッハの作品
♪ 極端に弱くしかし滑らかでニュアンスに富んだ音色のクラヴィコードと、 鮮やかで豪華な響きのチェンバロ、両方を楽しめるお得なコンサート。 楽器や曲に関する渡邊さんの解説も興味深い。 使用チェンバロは、このコンサートシリーズを企画する横田誠三さん製作の、 極めて美しいもの。 確かに、クラヴィコードの音が弱いのではなく、 今の世の中が騒々し過ぎるのかも知れない。
つのだたかし ソロ 「静かな音楽」 1999/11/21 松明堂音楽ホール つのだたかし(lute, baroque guitar) [曲]16〜17世紀のイギリス/イタリア/スペインの音楽
♪ リュートのどこか物悲しい響きと、つのださんの楽し過ぎるお喋り。 至福とはこんな時間のことを言うのだろう。話題の カゴメのCM の曲も演奏。 アンコールのつのださんの歌には目が潤んでしまった。 初めて行った松明堂 は、まさに古楽にふさわしい親密な空間。 望月通陽さん作のオブジェも穏やかな雰囲気を醸し出す。
第5回北とぴあ国際音楽祭 「ヴィオラ・ダ・ガンバの小宇宙」 1999/11/11 北とぴあ さくらホール ヴィーラント・クイケン(viola da gamba) [曲]アーベル: 5つの小品, サント=コロンブ: プレリュードとシャコンヌ, 他
♪ 奥行きの深い音色。余韻までが美しい、丁寧な演奏。 ただ、あまりにも地味で、悪く言えば無難過ぎる印象。 同じ北とぴあで数年前に聴いたサヴァールの火花を散らすような演奏ぶりとは 対照的。
トリオによるバロック室内楽 1999/11/05 田端文士村記念館 エンリコ・ガッティ(violin), 平尾雅子(viola da gamba), 芝崎久美子(cembalo)
♪ 前半にドイツ、後半にフランスのプログラム。 ぴったりと息が合っていながら、しかもかなり熱を帯びた、極上の演奏。 広くない会場もふさわしく、それぞれの奏者の見せ場も用意した選曲もよい。 時間が過ぎゆくことをこれほど残念に思ったのは久しぶり。
グスタフ・レオンハルト 1999/10/21 カザルスホール グランド・ツアー(オルガン編) [曲]G.ムファット, G.ベーム, H.パーセル, 他の作品
♪ 東京公演の最後はオルガンリサイタルで、例によって有名曲は皆無。 私には大半が初めて聴く曲だが、 コラール的な曲よりも、後半の器楽的な曲の方が楽しめた。 このホールのオルガンを聴くのは初めてだが、 オルガンの規模の割には残響が少なく、 降り注ぐ音に包み込まれる感じは薄く、管の音がそのまま耳に届いている感覚。
グスタフ・レオンハルト 1999/10/20 東京文化会館小ホール バッハへの道(チェンバロリサイタル) [曲]O.ギボンズ, G.ベーム, J.S.バッハの作品
♪演奏内容に関しては言うまでもないので、余談。 (1)曲間に何度も同じ弦を調弦し直していた。楽器が不調か。 (2)アンコールは、19日/20日共に、無伴奏violin/cello曲からサラバンドの編曲。 余韻を楽しむにはやはりサラバンドか。 (3)客席にも大物音楽家がちらほら。 普段ならステージ上にいる人たちと、 同じ客席で音楽の喜びを共にすることの嬉しさ。
グスタフ・レオンハルト 1999/10/19 カザルスホール グランド・ツアー(チェンバロ編) [曲]フランス/ドイツ/スペインのチェンバロ音楽
♪チェンバロ界の教祖的存在、レオンハルトが悲願の再来日。 公演毎に異なった演奏曲目、しかも有名曲が少ないのは、いつも通り。 毅然と、しかも柔軟な演奏ぶり。やはりレオンハルトの偉大さは別格。 作曲者の名前すら聞いたことがなかったスペインものなどにも、 魅力的な曲が少なくなかった。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第40回定演 1999/10/11 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1723年-VI [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: カンタータ Nr.69a, 77, 119
♪ トランペット4本、オーボエ3本、リコーダー2本にティンパニを動員した、華麗な響き。 ラッパの音が好きでない私にも、 バッハの音楽の中のトランペットは、どうして魅力的に聞こえるのか。 初登場のゾレク=アヴェラ(アルト)は情感深い歌い方で好印象。 アンコールにはBWV50(断片)。
折々の会 第6回サロンコンサート
タトパニ・神秘の響き
1999/09/25 東松山北地区市民活動センター 「大地への祈りと喜びと癒しの音楽」 [演奏]タトパニ: R.ベオグラード(サックス、タブラ、声、他), A.ベヴァン(サックス、バーンスリ、ディジェリドゥ、他), C.ハーディ(ドゥンベック、リク、ダルブッカ、他)
♪ 力強い古代楽器と、サックスやフルートなど現代楽器との妙なる融合。 奏者それぞれが、自作を含む何種もの珍しい楽器を持ち替え、自在に操る。 とりわけ、一見単純そうな打楽器の変幻自在な音色には驚き。 横田ハープシコード工房主催。
音楽のタイムマシン シェイクスピアの舞踏会 1999/09/11 東京文化会館大ホール 波多野睦美(soprano), 濱田芳通(cornet), 平尾雅子(viola da gamba), 新倉好子(ルネッサンス舞踊), 清水明彦(案内役), 他
♪ 17世紀ロンドンの仮面舞踏会を、当時の音楽と舞踊で再現。 超豪華な演奏陣。ゆったりした舞踊も美しい。 しかし、大ホールのためPA機器を通した音となり、生きた音楽が聞こえて来ない。 この演奏会の趣旨から言っても、もっともっと小さなホールにすべきだった。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第39回定演 1999/07/12 東京オペラシティ コンサートホール [音楽監督]鈴木雅明 [曲]C.モンテヴェルディ: 「倫理的・宗教的な森」抜粋、他
♪ 声楽も器楽も選りすぐりの、素晴らしいアンサンブル。 波多野睦美さんの共演だけでも嬉しいのに、他の奏者も含めて文句なしの内容。 私にとってはあまり耳馴染みのない音楽にも関わらず、大満足。 とりわけ野入志津子さん(アーチリュート)は楽しそうに弾いていた。 最前列を取ったのは、やはり正解。
第16回 まさしんぐWORLDコンサート 1999/06/22 ゆうぽーと簡易保険ホール ♪ さだまさしファンクラブ会員のためのコンサート、 今回はデビュー25周年記念で、 弦楽合奏を交えた豪華編成によるコンサートプログラム。 残念ながらゲストはなかったが、ツアー初日らしい緊張感がよい。 いつも以上に思想的な内容が多く、深く重く心に残った。
トン・コープマン チェンバロ&オルガンリサイタル 1999/06/13 東京オペラシティ コンサートホール [曲]J.S.バッハ: 半音階的幻想曲とフーガBWV906, パルティータNr.3BWV827, 恵み深きイエスを迎えよBWV768, 他
♪演奏する様子も、散りばめられた装飾音も、 本当に音楽する喜びを全身から発散するコープマン。 このホールのオルガンを聴くのは初めてだが、 豪快に降り注ぐ音の洪水には圧倒される。 チェンバロとオルガンの対照も面白い企画。
渡邊順生&崎川晶子 クラヴィコード・デュオ 1999/06/05 近江楽堂 「J.S.バッハの後継者たち」 W.F.&C.P.E.バッハ、ハイドン、ヘスラー、ミューテルの作品。
♪ クラヴィコードのこの上なく繊細な響き。 耳をすます、と言う表現がこれほどふさわしいことはない。 本当に小さな音だが、少しづつ耳が慣れてゆくのが不思議なくらい。 いい音を味わった満足感でいっぱい。 楽器を欲しくなってしまった。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第38回定演 1999/05/31 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1723年-V [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: カンタータ Nr.25, 64, 147
♪人気曲147番のためか大盛況。 BCJの定期会員になって5年目だが、今年度は最前列の席を確保。 音響的には最善ではないかも知れないが、それを上回る視覚的な迫力と、 奏者との一体感は格別で、なおさらの感動。得をした気分。
折々の会 第5回サロンコンサート
チェンバロを囲んで
1999/05/22 東松山北地区市民活動センター 副島恭子(チェンバロ)、山本富美(ソプラノ) [曲]フレスコバルディ, L.&F.クープラン, パーセル, J.S.バッハの作品
♪ 親密な空間で楽しむ、極上のチェンバロ音楽と、ゲストのソプラノの美声。 奏者による曲それぞれの解説もあり、 とりわけF.クープランのフランスのフォリアでは 変奏毎にその表題を読み上げたりと、実に心あたたまる内容。 最後に来客にチェンバロを開放したのも、このような機会ならでは。 横田ハープシコード工房主催。
Vauxhall Garden's 18世紀ロンドンの庭園音楽会 1999/05/09 オリベホール 波多野睦美(ソプラノ), 岩淵恵美子(フォルテピアノ) [曲]J.Ch.バッハ: 優しいそよ風, J.ハイドン:イングリッシュ・カンツォネッタ集より, 他
♪ 息の揃った、陰影に富んだ、どこか爽やかな演奏ぶり。 演奏曲目もいかにもバロック風ではないので、ちょっと新鮮。 フォルテピアノを生できちんと聴いたのは初めてだったが、 今回の楽器は、低音域は普通のピアノに似た感じで、高音域の音色は美しい。
武久源造チェンバロリサイタル 1999/04/16 近江楽堂 「バロックの終焉」 [共演] 北野啓子(ダンス), 雨宮慶子(創作詩朗読), 久保田彰(チェンバロ操作)
♪ J.S.バッハ、C.P.E.バッハ、ラモー、フォルクレ、ロワイエなど、 バロック末期1740年代に世に出た多様かつ濃密な作品を集めた好企画。 音楽に喚起された詩やダンスを組み合わせたり、 演奏中にチェンバロの蓋を開閉して音を変化させたりと、意欲的な試みも。 武久さんのお話も楽しい。
バッハ・コレギウム・ジャパン 受難節コンサート 1999/04/03 彩の国さいたま芸術劇場 [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: マタイ受難曲BWV244
♪ 5年ぶりのBCJのマタイ。 予想以上に劇的な表情付けで、しかもいつもより出演人数が多いため、かなりの迫力。 福音史家役のテュルクとイエス役のコーイは最高。合唱陣も好調。 ソプラノのアージェンタがミスマッチだったのと、 前半ややアンサンブルが乱れ気味だったのが惜しい。
折々の会 第4回サロンコンサート
フルート&ギター・デュオ
1999/03/20 東松山北地区市民活動センター 田中潤一(flute), 中根康美(guitar) ジュリアーニ: 協奏的大二重奏曲op.85, ピアソラ: 「タンゴの歴史」, 他
♪ 古典と現代の曲目を対照的に、 しかもフルートをギターのためのオリジナル曲だけを並べた 意欲的なプログラム。 曲の時代に応じて4本のフルートと2台のギターを駆使。 瞑想的な旋律、白熱の超絶技巧、凄いデュオ。 横田ハープシコード工房主催。
ザ・ハープ・コンソート 1999/03/09 カザルスホール ルカス・ルイス・デ・リバヤス: 灯火と北極星
♪ 古楽ハープ奏者ローレンス=キング率いるバロック・バンドが初来日。 スパニッシュ・ハープとギター、テオルボ、リラ、ヴィオール、打楽器、 歌、ダンス、更には予想外のパフォーマンスと、実に芸達者なメンバー達。 ローレンス=キングの語りを交えて楽しむ、ラテン系の舞曲と哀歌の数々。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第37回定演 1999/02/13 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1723年-IV [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: カンタータNr.179, 105, 186
♪今日の合唱はピタリと揃っていて絶好調の感。 客演のパーション(S)、ブレイズ(CT)もよかった。 アンコールには、ブレイズの歌で、珍しいBWV200のアリアを。
オフィーリアの歌 1999/01/14 バリオホール 波多野睦美(voice), つのだたかし(lute)
♪J.ダウランド、Th.チャンピオンなど、16-17世紀イギリスのリュート歌曲。 「優しく潤いに満ちた」至高のデュオが醸し出す、この上なく穏やかな情感。 至福の一夜。

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(紺野裕幸)

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