コンサート寸評 2000年

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2000
タイトル 日付 会場 データ、感想
BCJ特別演奏会「アンドレアス・ショルを迎えて」 2000/12/20 東京オペラシティ コンサートホール [管弦楽]バッハ・コレギウム・ジャパン [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.35, 170, 他
♪人気のカウンターテナー、ショルとBCJとの待望の共演。 ショルはかなり長身の人で、 CDで聴く以上に表情や起伏に富んだ歌いぶり、しかも声量も豊か。 BCJ器楽陣も熱演。 アンコール2曲目のシェメッリ歌曲集のオルガン伴奏にもしみじみ。 ふと気付けば、4年連続で年の締めくくりにBCJを聴いている。
オペラ・バレエ《エベの祭典》 2000/12/02 北とぴあ さくらホール [指揮]寺神戸亮 [管弦楽・合唱]レ・ボレアード [曲]J.Ph.ラモー:エベの祭典
♪残念ながら休止となった 北とぴあ国際音楽祭だが、 開館10周年企画として恒例のオペラ・バレエを上演。 寺神戸さんは今回はヴァイオリンを持たずに指揮に専念。 舞台演出はさすがに低予算を痛感させられるものだが、 優雅な衣装とバロック舞踊と古楽オケの響きには満足。 他では滅多にない内容なので、この企画だけでも続行して欲しいと切に願う。 詳細
折々の会 第11回サロンコンサート
「喜びの鍵 苦しみの鍵」〜大人のための絵本付きコンサート
2000/11/18 東松山市北地区市民活動センター Anima Mundi: 辻康介(baritone), 太田光子(recorder), 内村まり子(cembalo), M.J.レオポルド(lute)
♪歌詞対訳の代わりに、歌詞の雰囲気を伝える絵本を付けるという、 世界初(?)の試み。その成果はともかく、 無名なイタリア初期バロックの魅力を伝えようとする意気込みがよい。 とりわけ太田さんのリコーダーは(風邪気味にも関わらず) 身振りも生き生きの素晴らしい演奏だった。 チェンバロは横田ハープシコード工房によるイタリアンを使用。 ホームページ
バッハ・コレギウム・ジャパン 第45回定演 2000/11/12 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1723年-IX [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.194, 序曲第3番BWV1068
♪前半にオルガン独奏と序曲、後半にカンタータ1曲で、 それぞれ祝祭的な音楽。 おなじみ管弦楽組曲も、鮮やかな演奏を生で聴くのはよいものだ。 新登場のバスのクプファーの滑らかな歌い口に好感。 アンコールにはメルボルン土産代わりに、BWV66の冒頭曲。
静かな音楽 2000/10/28 近江楽堂 つのだたかし(lute, baroque guitar)
♪CD『静かな音楽』発売記念コンサート。 2つの楽器を駆使して、15〜17世紀の音楽と、つのださんの自作曲を数曲。 とりわけ自作曲は、まさに現代のメランコリーと言った印象。 つのださんのお話も楽しく、小人数ならではの親密な感じが心地よい。 終演後には新CDにサインをしてもらって、嬉しい限り。
オリーブの木かげで 2000/10/12 トッパンホール 波多野睦美(voice), つのだたかし(vihuela, baroque guitar) [曲]ルネサンス・バロックのスペイン歌曲
♪ 前半にルネッサンス(ビウエラ使用)、後半にバロック(バロック・ギター使用) のプログラム。 とりわけ後半のリズミカルな器楽曲と情念に満ちた歌は感動的。 開館間もないトッパンホールは、木目の綺麗な室内楽用ホール。 駅からはやや遠い。
折々の会 第10回サロンコンサート
ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲集
2000/09/23 東松山文化センター [演奏]古典四重奏団 [曲]D.ショスタコーヴィチ: 弦楽四重奏曲No.4, 8, 9
古典四重奏団 による、熱く燃えるショスタコーヴィチ。 ダイナミックレンジは驚異的で、息合わせも完璧。 ヴィブラートを抑えた弦の調和も美しく明解。 こんな曲も全部暗譜で弾いてしまうとは、まさしく超人的。 演奏者による解説も嬉しい。 横田ハープシコード工房主催。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第44回定演 2000/09/22 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1723年-VII [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.40, 60, 70, 90
♪今回も今井奈緒子さんのオルガンによるオープニングで開始。 野々下、波多野、ブレイズ、テュルク、コーイと最強の独唱陣。 オーボエとトランペットの掛け合いなど視覚的にも楽しいもの。 豪快な響きの曲が多く迫力も充分で、いつもながらよい演奏。 但しプログラム冊子の質は低下しているように思う。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第43回定演 2000/07/09 東京オペラシティ コンサートホール 結成10周年記念公演 [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 前奏曲とフーガBWV532, 世俗カンタータBWV206, 201
♪ 初の世俗カンタータ公演。 とりわけ後半のBWV201では、身振りなど交えて面白おかしく演じる ソリストたちの様子に、笑いを堪えるのが大変だった。 今井奈緒子さんのオルガン独奏によるオープニングもあり、 更にはアンコールにマニフィカトBWV243の冒頭合唱まで付いて、 何だか得した気分。
コンコルディア 第28回定期演奏会 2000/06/24 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール [曲]帰山栄治: マンドリン合奏のための三楽章第3番、 小林由直: Pellucid Illusion、他
♪ 演奏至難の大曲「三楽章第3番」は、 以前私自身も弾いたことがあり、思い入れのある傑作。 残念ながら、エキストラの管・打楽器のミスのためもあり、 合奏が何度も空中分解しそうになっていたが、 それにも関わらず目が潤むほどに感動してしまった。 いつもながら現代邦人作品を主軸に据える意気込みに拍手。 詳細
バッハ・コレギウム・ジャパン 第42回定演 2000/06/08 東京オペラシティ コンサートホール [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: ブランデンブルク協奏曲(全曲)
♪ フレンチ・ピッチの採用他、BCJらしい挑戦的な試みを満載。 各曲共に最小編成で、低音楽器以外は立ってチェンバロを囲むステージ。 2番での当時のスタイルに妥協しない島田氏のトランペットはスリリングな体験。 1番の豪快な響きや3番の疾走感なども素晴らしく、 全体として過剰の期待をも上回る内容。 ただ、やはりこの編成にこのホールは大き過ぎると思う。 詳細
フリップ・ヘレヴェッヘ/コレギウム・ヴォカーレ 2000/05/27 すみだトリフォニーホール [曲]J.S.バッハ: ヨハネ受難曲BWV245
♪ 完璧に整った合唱、 パドモア(福音史家)やマクロード(イエス)はじめ粒揃いのソリスト陣、 低音を強調したメリハリのある管弦楽。 やはりヘレヴェッヘは凄かった。 それにしても、あのよく分からない指揮ぶりで、 どうしてアンサンブルがピタリと揃うのか、ちょっと不思議。 詳細
芝崎久美子 チェンバロの夕べ 2000/05/13 近江楽堂 音楽の花束・第2夜「LAMENTATION」 [曲]L.クープラン, W.バード, J.J.フローベルガー, G.フレスコバルディなどの作品
♪いつもながら安心感のある演奏。 地味な選曲にも関わらず、客席はほぼ満員。 奏者による解説や雑談がなかったのは少々残念。 使用楽器は、久保田彰工房によるまだ未塗装の一段イタリアンチェンバロ。
ヴィルトゥオーゾ 2000/04/18 アサヒスクエアA 岡本知高(sopranista), 渡邊慶子(violin), 田崎瑞博(violoncello), つのだたかし(lute, etc.), 芝崎久美子(cembalo), マルグリット・デ・モーア(朗読)
♪ 小説「ヴィルトゥオーゾ」に描かれたカストラートの奔放な世界を、 原作者による朗読と当時の音楽とによって表現する企画。 初めて聴くソプラニスタ(男性ソプラノ)は、強烈な体験。 映画「カストラート」で、歌声に失神してしまう聴衆がいたが、 その気分も分かる気がした。 器楽バンドも熱演。
バロック室内楽の響き Vol.6 2000/04/08 群馬県大泉町文化むら大ホール [演奏]コンセール・アザレ [曲]A.ヴィヴァルディ: フォリアd, M.ブラヴェ:フルート協奏曲a, 他
♪ ヴァイオリンが甚だ安定感に欠け、演奏レベルは必ずしも高くはなかったが、 奏者による演奏例も沿えた楽器紹介など、 地元の人に古楽の喜びを伝えたいという意欲に溢れたコンサート。
折々の会 第8回サロンコンサート
ドイツ・バロック ヴァイオリン・ソナタ選集
2000/03/25 東松山北地区市民活動センター 桐山建志(baroque violin)、平井み帆(cembalo) シュメルツァー, ビーバー, ヘンデル, バッハの作品
♪ 期待の若手の登場。 バッハ無伴奏のような難曲でも、完璧な安定感。 しかも、何と楽しそうに演奏していることか。 奏者による曲や楽器の解説も交えて、暖かな雰囲気。 美しいチェンバロは、主催者の横田ハープシコード工房によるもの。 ホームページ
名古屋大学ギターマンドリンクラブOB演奏会 2000/03/19 名古屋市芸術創造センター 帰山栄治・酒井国作(客演指揮), 榊原喜三(mandolin), 酒井康雄(guitar) [曲]帰山栄治: 序曲・協奏詩曲・IZANAI(委嘱初演), 酒井国作:KAI(委嘱初演), 他
♪ 名大ギタマンのミレニアム特別企画。 意外にも客席は超満員。 演奏内容は必ずしも上出来とも言えず、 新曲も傑作とは思えなかったが、 またとないこの「場」を共有できたことだけでも、もう充分に満足。 このクラブに属したことを心から嬉しく思う。 詳細
芝崎久美子 チェンバロの夕べ 2000/02/25 日本福音ルーテル東京教会 音楽の花束 第1夜「PAVANE」 [曲]A.フォルクレ, L.&A-L.クープラン, D.スカルラッティなどの作品
♪ バロック後期作品を中心とした、高濃度のプログラム。 いつもながら気品と迫力に溢れた極上の演奏。 どちらかと言うとシリアスな曲が多く、聴き応えがあった。 使用楽器は野神俊哉氏による非常に美しいものだが、 極度の乾燥のせいか時々ヘンな音を発していた。楽器は生き物だと実感。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第41回定演 2000/02/21 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1723年-VII [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.48, 89, 109, 148
♪ 今回のステージは、声楽ソリストが合唱にも参加。 確かにこの方がふさわしいと思われる。 テノールのテュルクとアルトのブレイズの見せ場も多く、 ソロも合唱もオケも絶好調。いつもながらの好演。

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(紺野裕幸)

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