コンサート寸評 2002年

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2002
タイトル 日付 会場 データ、感想
村松健クリスマスライブ
アドベント・カレンダー2002
2002/12/08 茶房ほしつきぴあの 村松健(piano, organ)、安藤浩司(bass)、岡部洋一(percussions)
♪ 客間のような喫茶店でのライヴ。 9月のお月見ライヴと打って変わって、(楽器編成のためもあってか) 今回は非常に賑やかな曲が並ぶ。 オリジナル曲が中心だが、ジャズっぽい雰囲気にアレンジしてあって、 曲順さえもその場の流れで決めていた感じ。 村松さんのお話も交えながら、非常に寛いだ雰囲気の、至福のひと時。 店のイルミネーションもよい雰囲気を盛り上げていた。
渡邊順生バッハ/チェンバロ協奏曲シリーズ
第4回: 3台のチェンバロのための協奏曲
2002/12/01 東京文化会館小ホール [演奏]渡邊順生・崎川晶子・村上暁美(cembalo)、 ザ・バロックバンド(管弦楽) [曲]J.S.バッハ: 3チェンバロ協奏曲d BWV1063、 C.P.E.バッハ: チェンバロ協奏曲d Wq23、 J.ハイドン: チェンバロ協奏曲D Hob.XVIII:11、 W.A.モーツァルト: 3チェンバロ協奏曲F KV242
♪ 1730年代から1780年代まで作曲年代は50年ほどの違いだが、 曲調の違いは驚くほど。 半分は初めて聴く曲だったが、何れも傑作揃いで、 普段はあまり聞かないモーツァルトやハイドン作品にも、 こんなに面白いものがあるとは。 舞台に並ぶ3台の楽器の音色の違いも、素人耳にも面白いほど明瞭。 極小編成にも関わらず、ベースの押しが強く(座った席のせいか)、 迫力にも事欠かなかった。
折々の会 第19回サロンコンサート
「爽快! ラテンバロック」
2002/11/30 東松山市北地区市民活動センター [演奏]ラ・フォンテーヌ: 江崎浩司(recorder類、oboe、fagott、司会)、 三宮正満(oboe類)、高群輝夫(cello)、水永牧子(cembalo) [曲] J&J.プラ・M.コレット・J.デュフリの作品、 G.F.ヘンデル・J.S.バッハの編曲、他
♪ 木管2本と通奏低音の古楽バンド。 無名曲と、大胆に編曲(ないし拡張)した有名曲とを並べた、独自のプログラム。 超絶技巧も含め見せ場もたっぷりで、 「イタリア協奏曲」にクリスマスソングが挿入されたり、 「最愛の兄の…カプリッチョ」の舞台が「男はつらいよ」になったりと、 小細工も満載。表題に反して「ラテン」という感じはしなかったが、 奏者の愉快なお喋りも含めて、とにかく楽しませるライヴではあった。
古楽レクチャーコンサート
「西洋音楽との邂逅〜天正遣欧使節と音楽」
2002/11/07 トッパンホール [講師]那須田務 [器楽]アントネッロ(濱田芳通、石川かおり、西山まりえ) [声楽]ラ・フォンテヴェルデ(鈴木美登里、上杉清仁、谷口洋介、春日保人)
♪16世紀末4人の少年たちがローマに遣わされた所謂「天正遣欧使節」の解説に、 当時の音楽を併せて聴く企画。 石井高『秀吉が聴いたヴァイオリン』や 松田毅一『天正遣欧使節』等の本で 以前から興味を持っていたが、実際に音楽があると感興も増す。 即興も自在な器楽陣も、乗り気な声楽陣も、意欲的な好演。 レクチャーの方法には改善の余地があるが、全体の構成はよく練られていた。
ザ・ハープ・コンソート
「踊るメキシコ」
2002/10/20 第一生命ホール [演奏] A.ローレンス=キング(harp), S.プレイヤー(dance, guitar), C.サナブラス(voice, guitar), P.v.ラールハーヴェン(viola da gamba, lirone, guitar), T.イーレンフェルト(theorbo, guitar), M.メツラー(percussions, guitar)
♪ 歌と踊りと即興の超古楽バンド、3度目の来日。 前回と比べて… ・事前のレクチャーでラテン・バロックの成立背景や舞曲の様式などを 実演を交えて詳説、非常に有益。 ・ハープ背面の黒ガムテープ補強は結構目立つ。 ・ガンバは前回と別人。 ・今回もプレイヤーはギター片手に客席を徘徊。 ・サナブラスは体調が悪かったようだが、後半は持ち直して快演。 ・ギターが主役の浮気コメディは、じわじわと面白く大受けだった。 ・アンコールも3曲あって更に得した気分。
折々の会 第18回サロンコンサート
「モーツァルトのピアノソナタ」
2002/09/28 東松山市北地区市民活動センター [演奏] 崎川晶子(フォルテピアノ)、 渡邊順生(チェンバロ) [曲]W.A.モーツァルト: メヌエットK.1, ピアノソナタK.281/332, 幻想曲K.397, 2台のピアノのためのソナタK.448, ピアノ連弾のためのソナタK.497
♪横田ハープシコード工房の新作フォルテピアノ(シュタインモデル)をお披露目。 楽器は小さ目で、音色は軽やか、しかし強音には意外な底力が。 注目すべきはK.448で、フォルテピアノとチェンバロによる演奏は世界初、 しかも聴いていて大興奮の快演。 日頃とかくモーツァルトを敬遠していた私にとって衝撃的でさえあった。
村松健お月見ぴあの 待宵草 2002/09/22 茶房ほしつきぴあの [演奏] 村松健(ピアノ、縦笛、横笛)、 江戸信吾(琴)
♪ アットホームな喫茶店で、ピアノを身近で聴けるライヴ。 村松さんの、穏やかなお話を交えながらの心地よいオリジナル曲に、 えも言われぬ安らいだ空気が場内を満たしていた。 後半の琴との共演(村松さんは笛も披露)も、 琴の音色が完全に村松さんの世界に取り込まれていて、絶妙。 テラスでの月見演奏の予定が、生憎の雨夜で屋内演奏となったが、 音響的にはむしろ良かったと思う。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第56回定演 2002/09/14 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-VIII [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.113, 33, 8
♪ オープニングのオルガン独奏は、パッヘルベルのコラール変奏と、BWV1100, BWV536。 独唱陣は、野々下、ブレイズ、テュルク、コーイの最強メンバーで、 ニ重唱を含めてアリアは極上で、合唱も好調。 鈴木雅明さんが最も好きなカンタータと仰るBWV8では、 トラヴェルソ(前田さん)の超絶オブリガートがなかなか大変そうだった。
古楽器によるバロック協奏曲への誘い 2002/08/25 群馬・大泉町文化むら大ホール [演奏]コンセール・アザレ(主宰: 大西維津子) [曲]A.ヴィヴァルディ: 弦楽のための協奏曲 A Rv150, 2つのフルートのための協奏曲 C RV533、 G.Ph.テレマン: リコーダーとフルートのための協奏曲 e、 J.S.バッハ: オーボエ・ダモーレ協奏曲 A BWV1055a, ブランデンブルク協奏曲No.5 D BWV1050
♪ 最小編成による後期バロック協奏曲。 曲目は意欲的で、特にテレマンは意外な収穫。 しかし、ヴァイオリンの音程が相当に不安定で、アマチュアなので仕方ないとは言え、 とても落ち着いて聴いていられるものではなかった。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第55回定演 2002/07/19 東京オペラシティ コンサートホール 真夏のヘンデル〜新発見グロリアの響き [ソプラノ]天羽明恵 [オルガン独奏、音楽監督]鈴木雅明 [曲]G.F.ヘンデル: オルガン協奏曲F HWV292, ソプラノ独唱のためのグロリアHWV deest, 詩篇HWV232,237
♪ 新発見のグロリアを含め全曲ヘンデル作品。オケはいつもより小編成。 独唱の天羽さんは、叙情的な声ながらコントロールは絶妙で、 すっかり聞き惚れてしまった。 独唱につられるように、合唱陣も快演。 私には初めて聴く曲ばかりだったが、 とことん楽しく聞かせてしまうあたり、さすがにヘンデルであった。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第54回定演 2002/06/08 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-VII [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.10,93, 107,178
♪ オープニングのオルガン独奏(BWV733, 691,690,642)はソプラノ合唱が参加。 初登場のマシュー・ホワイトは、写真と違ってにこやかな、 やや渋めの声の人だったが、見せ場が少なかったのは残念。 今回は全体に比較的しみじみと聴かせる曲が多かった印象。 アンコール前の鈴木雅明さんの挨拶は、 BCJ第1回定演以来10年間への感謝と、 来年の米国公演への支援の依頼など。
タブラトゥーラ ミニコンサート 2002/06/08 山野楽器銀座本店 [出演]つのだたかし、田崎瑞博、近藤郁夫、江崎浩司
♪ CD購入者が対象のミニコンサート。 例によってつのださんのおしゃべりを交えての楽しいライヴ。 予定では30分だったらしいが、実際には45分ほどに延長。 終演後のサイン会では、CD「放浪」に4人のサインを頂戴、これは家宝にしたい。
折々の会 第17回サロンコンサート
「じょんがらライブ!」
2002/05/25 東松山市北地区市民活動センター [出演]山口ひろし(津軽三味線), 飯塚奈央(長唄三味線)
♪ 若手の三味線楽奏者2人の出演。 前半は津軽三味線の独奏。三味線を生で聴くのは初めてだったが、 音は想像以上に力強く底力があり、 超絶技巧モノも含めて思わず身を乗り出したくなる演奏。 後半は長唄三味線との競演。楽器の説明なども含めて曲間のお話も楽しく、 両者の「セッション」は、もう最高。 奏者の方の自然な礼儀正しさにも感服。
バッハ親子のヴァイオリン音楽 〜ロ短調のメランコリア〜 2002/05/17 近江楽堂 [vn]寺神戸亮 [cemb]シャレフ・アド=エル [曲]J.S.バッハ: ヴァイオリン・ソナタ ロ短調BWV1014, ト長調BWV1019、 C.P.E.バッハ: ヴァイオリン・ソナタ ロ短調Wq.76, ファンタジアWq.80
♪ 個人的に最近凝っているC.P.E.バッハも含めて、非常に好みのプログラム。 C.P.E.のソナタのいかにも当時の前衛らしい起伏の激しさと、 ファンタジア(ヴァイオリン付きの版は初めて聴いた)の何とも物憂い曲調。 初来日のアド=エルは長身の人で、なかなかの熱演。 寺神戸さんによる楽しい曲目解説もありがたい。
くさのみちコンサート2002 2002/05/04 さくら保育園ホール(深谷市) [馬頭琴]イワノヴァン・アマルトヴシン, シャラブーアリルディ・ボルドバータル
♪ モンゴルの馬頭琴奏者のデュオ公演。 好評だった昨年の公演に引き続き、 今回も大盛況。 プログラムは、前半に伝統的な馬頭琴音楽、後半に現代的な音楽への試みで、 演奏は勿論ニュアンス豊かで素晴らしいもの。 案内役は前回同様、モンゴル大使館の通訳の方。 実にアットホームな雰囲気で、合間には奏者の方への質問コーナーなども。 ホームページ
バッハ・コレギウム・ジャパン 第53回定演 2002/04/27 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-VI [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.20,7,94
♪ 今回からコラール・カンタータ(所謂「第2年巻」)が開始。 オープニングは恒例のオルガン独奏(BWV566)。 初登場のコボウ(T)は最初やや力み気味に思えたが、なかなか表情豊かな歌で、 ブレイズ(CT)との二重唱など実にいい雰囲気だった。 独奏楽器が活躍する場面が多く非常に楽しめ、 特にNr.94での菅さん(トラヴェルソ)の独奏には崇高な雰囲気すら漂っていた。
彩の国大バッハ・シリーズ「マタイ受難曲」 2002/03/29 さいたま芸術劇場 音楽ホール [曲]J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV244 [演奏]バッハ・コレギウム・ジャパン [独唱]G.テュルク(T)、E.アーベレ(B)、R.ブレイズ(A)、D.ラーベル(S)、他 [音楽監督]鈴木雅明
♪ 恒例の聖金曜日公演。 先々週のヨハネと同じ強力な独唱陣で、 特にテュルクの福音史家とアーベレのイエスは文句なしに素晴らしい。 全体に思い切った劇的な演奏で、特に後半の随所での迫力には凄みがあった。 S&Aの独唱2人による冒頭合唱コラールは、合理的だが何となく物足りない感も。 プログラム冊子が無料なのは嬉しいが、訳詞の無配慮なページ割りが惜しい。
折々の会 第16回サロンコンサート
「ア・カペラ名曲アルバム」
2002/03/22 東松山市北地区市民活動センター [出演]AUDITE NOVA: 名倉亜矢子(S)、村田悦子(A)、及川豊(T)、小酒井貴朗(B)
♪ 中世〜ルネッサンスの、当時の人気の歌を集めたプログラム。 私にはあまり馴染みのない演目だったが、 安定した声の調和には実にうっとりさせられた。 前半に宗教曲、後半に世俗曲と趣向を変えた構成もよく、 メンバー持ち回りによる曲目解説も楽しく、 無伴奏と言いつつ1曲だけリコーダーや小型ハープを添えた曲もあり、 最後には日本の歌4曲のサービスも。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第52回定演 2002/03/15 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/受難節コンサート2002 [曲]J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV245(第2稿) [独唱]G.テュルク(T)、E.アーベレ(B)、R.ブレイズ(A)、D.ラーベル(S)、他 [音楽監督]鈴木雅明
♪ 1725年に改訂された第2稿による演奏。 冒頭合唱を始め(文字通り)要所要所の曲が差し替えられており、 意外性のある貴重な体験だったが、 好みで言えば第4稿(あるいは折衷版)の方が上かも。 初登場の二人(アーベレ&ラーベル)を含めた独唱陣も万全。 特に福音史家のテュルクの語りかけるような朗唱に、感動は深し。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第51回定演 2002/02/09 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-V [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.65,81,83,190
♪ 今回は各ソリストが歌う位置を、 レチタティーヴォでは舞台中央の壇上、アリアでは舞台前方の指揮者脇と変えていた。 初登場(多分)のギルクリスト(テノール)は、 豊かな声量と滑らかな歌い口で好感度大。 BWV190では失われた器楽パートを復元補完して演奏、 このような先鋭的な試みに立ち会えるのもBCJならでは。
馬頭琴アンサンブルコンサート 2002/01/26 児玉町総合文化会館 蓮見治雄(解説)、 チンゲルト(馬頭琴)、ゲゲンチメッグ(歌)、ハルチンフー(歌)、他
♪ モンゴル馬頭琴奏者、歌手3人、踊り手による公演。 鮮やかな民族衣装には、思わず目を瞠った。 公演内容は申し分なく、とりわけ超絶技巧を交えた馬頭琴の熱演と、 よく通る女声の歌は忘れ難い。 更に、解説が楽しく分かりやすく興味深くしかも核心を突いたもので、好印象を倍増。 ただ、客席に地元老人が多かったせいか、観客マナーはけだし最低線。

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(紺野裕幸)

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