コンサート寸評 2001年

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2001
タイトル 日付 会場 データ、感想
グスタフ・レオンハルト チェンバロ・リサイタル 2001/12/09 第一生命ホール 「荘重にして、優雅なる肖像(ポルトレ)」 [曲]F.クープラン、ル・ルー、バルバトル、ネブラ、W.F.バッハ他の作品
♪ 2年振りの来日公演。 毅然とした演奏ぶりは相変わらず。 例によって有名曲を外したプログラムで、特に後半のネブラやW.F.バッハの いかにもバロック以後らしい響きは耳に新鮮だった。 アンコールはフォルクレとJ.S.バッハの、共に低音弦楽器からの編曲もの。 会場は出来たてのホールで、地理的には少々不便、チェンバロ独奏にはやや広過ぎ。 詳細
女王エリザベスの恋 2001/12/07 トッパンホール 伊藤ひろ子(語り)、波多野睦美(歌)、つのだたかし(リュート)
♪ エリザベス1世の侍女が物語る女王の悲恋の遍歴に合わせて、 ダウランドの歌曲を聴く企画。 歌が抱く抽象的な憂いや悲しみが、 こうして具体的な場面に置かれることによって、 ひときわ味わい深く感じられた。 当初は舞台装置がないのを残念に思ったが、 始まってみると、伊藤さんの穏かな語り口にすっかり引き込まれ、 しみじみと極上の音楽と相俟って、満ち足りた時間であった。 詳細
北とぴあ国際音楽祭記念事業 「フランス室内楽とカンタータの夕べ〜悲劇の中の女性たち〜」 2001/11/24 ホール [演奏]アニエス・メロン(soprano)、 寺神戸亮、小中麻里央(violin)、 有田正広、前田リリ子(flute)、 福沢宏、永田平八、小島芳子(通奏低音) [曲]F.クープラン:諸国の人々〜スペイン人、リュリ賛、 M.P.モンテクレール:ディドンの死、 L.N.クレランボー:メデ
♪ 公演2日目は室内楽。 昨日と打って変わって、今日の公演には大満足。 弦と管との絡み合いも楽しく、生気に富んだアンサンブルで、 フランス・バロックの典雅な雰囲気を満喫できた。 メロンも丁寧な熱唱にも好感。「リュリ賛」でのちょっとした演出もよい。 但し客層はいささか低く、演奏中の物音が気に障った。
北とぴあ国際音楽祭記念事業 「レ・ボレアード」 2001/11/23 北とぴあ さくらホール [演奏]アニエス・メロン(ソプラノ)、寺神戸亮(指揮)、 レ・ボレアード(管弦楽と合唱) [曲]W.A.モーツァルト: 交響曲第31番「パリ」、 J.P.ラモー: オペラ「レ・ボレアード」(オリジナル組曲版)
♪ 休止中の北とぴあ音楽祭だが今年も記念事業があり、 少しでも支援すべく二公演共に拝聴。 しかし今日の演奏は、どことなく精彩を欠いていた感あり。 演奏自体は悪くなかったが(低音管楽器の不安定さは気にはなったが)、 当時の前衛音楽らしい覇気が感じられず。 何より恒例の「舞台演出」がなかったことが残念。
パオロ・パンドルフォ 無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバ リサイタル 2001/11/09 武蔵野市民文化会館 [曲]オルティス、ヒューム、マッシー、マレ、J.S.バッハ、アーベルの作品
♪ violの黎明期から末期まで数百年の歴史を、 イギリス〜フランス〜ドイツへと旅してゆくプログラム。 お話(ゆっくりした英語)を挟みながら、 まるで奏者の自宅に招かれたかのような、親密な雰囲気のコンサート。 緩急自在のあまりに奥深い音色に聞き惚れつつ、 休憩なしの1時間半もあっという間に過ぎて行ってしまった。 アンコールにはバッハなど4曲も大サーヴィス。 生憎の雨天のせいか調弦が大変そうだった。 詳細
リュートの夜 2001/10/27 コア石響 つのだたかし(リュート、バロック・ギター)
♪ 前半リュート、後半ギターで、 いつものようにお喋りを交えてのコンサート。 プログラムには、曲目の代わりに 「眼鏡、古新聞、押入、月とリンゴ、テムズ河の釘」と 謎めいた言葉だけが書いてあり、 実はそれらはお話のキーワードなのであった。 広すぎない空間で、いつもながらのくつろぐ雰囲気の中、 日頃のもやもやした気分が解きほぐされていくよう。 アンコールの歌もしみじみと聴いた。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第50回定演 2001/09/29 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-IV [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.44,59,173,184
♪ ソプラノ合唱のコラール付きのオルガン独奏(BWV651,652)でオープニング。 独唱陣は波多野睦美さんを含めた最強の顔触れ。 特にカンタータ後半の2曲は、舞曲風の華やかな曲が続き、聴き手の気分も弾むよう。 とりわけ波多野さんと野々下さんの二重唱は素晴らしい。 アンコールの前に鈴木さんの挨拶(50回を迎えられたことへの感謝など)があった。
4台のチェンバロの響宴〜現代の名器を集めて 2001/07/15 浜離宮朝日ホール [演奏]渡邊順生/崎川晶子/鴨川華子/渡邊孝(cembalo)、 ザ・バロックバンド [曲]J.S.バッハ: BWV1065, 1064, 1055, 1056、C.P.E.バッハ: Wq.46
♪「渡邊順生・バッハ/チェンバロ協奏曲シリーズ」の第1回。 ステージに所狭しと並べれられた4台のチェンバロ。 オープニングのBWV1065から思わず身を乗り出したくなるような演奏で、 左右方々から折り重なるように耳に届くチェンバロの音には至福の感。 合奏は小編成であるにも関わらず、しっかりした低音のせいもあって重量感があった。 各曲毎に楽器配置を変えていたことも印象的。 個人的に最近凝っているC.P.E.バッハも嬉しい。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第49回定演 2001/07/07 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-III [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.37,86,166,104
♪ オープニングはオルガン独奏(BWV545)。 BWV104は、かなり昔FMで聴いて以来非常に好きな曲で 特に楽しみにしていたが、期待を裏切らない出来。 奏者の皆さんも何となく楽しそうに見えた。 アルトのブレイズの美声も、バスのマクラウドの抑えた歌も素晴らしい。 しかし、またしてもプログラム冊子が値上げで、ついに1000円(去年の倍)に。
第18回 まさしんぐWORLDコンサート 2001/06/22 東京厚生年金会館 ♪ たまたま2回連続のさだコンサートで、 ファンクラブ会員向け公演の今日が初日。 前半は『木を植えた男』に基づく一人芝居。 「自分にしかできないこと」なんて探さなくていい、 「自分にもできること」から一歩づつ始めよう、 と言うメッセージが胸に沁みる。 後半はミニコンサートで、 バンドはいつものメンバーに管楽器などを加えた拡大編成。 久し振りに聴く懐かしい曲も多数。
「日本架空説」さだまさしコンサート 2001/06/03 熊谷会館 ♪ 十数年振りの熊谷公演。 地方公演のせいか新曲よりも定番曲が多いのはやや不満ではあったが、 観客の反応があまりによかったこともあって沸きに沸いた休憩なしの3時間強。 いつものバンド陣も絶好調。 この会場は「雨やどり」ライヴ録音のご当地なので同曲の特別サーヴィスもあり。 最近は古楽にばかり熱を上げていた私だが、 自分の原点がさださんにあることを再確認した。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第48回定演 2001/05/26 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-II [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.66, 134, 67
♪ オープニングのオルガン独奏(BWV625, 627, 629, 630)に、 今回はソプラノ合唱のコラールが共演。 復活祭用のカンタータ3曲は、何れも祝祭的な歓喜を爆発させたもので、 演奏も乗りに乗った会心の出来。 カウンターテナー(ブレイズ)とテノール(櫻田)の二重唱が何度もあり、 伸びやかな声の調和には惚れ惚れするよう。 プログラム冊子の内容は濃くなったが、更なる値上げ(800円)は嬉しくない。
折々の会 第13回サロンコンサート
「伽耶琴と日本の楽器たち」
2000/05/19 東松山市北地区市民活動センター [出演]金栄植(キム・ヨンシク)(伽耶琴(カヤグム)), 望月左武郎(鼓ほか), 佐久間眞理(笛), 佐藤博(語り) [演目]幻燈:韓国昔話「おどりトラ」, 弾き語り:楽器あれこれ, 鼓と笛:一調一管, 伽耶琴と鼓:散調
♪ 韓国の古琴・伽耶琴に、日本の鼓や笛が共演。 各楽器や奏法の紹介も詳しくあり、幻燈も含めて盛り沢山のプログラム。 伽耶琴の独特のヴィブラート奏法の音色に、鼓の人の気迫の声(?)に、 これまで親しみのなかった音楽にも関わらず、 ゾクゾクするほど強烈な印象を受けた。
芝崎久美子 チェンバロのひととき 2001/05/18 近江楽堂 「音楽の花束2001 第2夜」 [曲]L.クープラン、フローベルガー、J.S.バッハ、他の作品
♪ 客席を80人に限定。 そのため、芝崎さんご本人が挨拶の中でもおっしゃっていた通り、 いつも以上に響きが豊かで、まるでホール自体が楽器になったかのよう。 選曲に特に目新しさはなかったものの、ほとんど短調の曲を集めた私好みの路線。 もう少しお話も聞きたかった気もするが、演奏は申し分なし。 使用楽器は、光沢も美しい、野神俊哉製作のチェンバロ。
くさのみちコンサート 2001/05/12 さくら保育園ホール(深谷市) [馬頭琴]イワノヴァン・アマルトヴシン, シャラブーアリルディ・ボルドバータル
♪ モンゴルの馬頭琴奏者2名を招いた、市民の自主開催による演奏会。 意外に強い響きで、奥行きと多彩な表現力を持つ魅力的な音色。 弓のみならず弦も馬の尾の毛ということにも、独特の弦の押さえ方にも驚いた。 デュオありソロあり、シンセ伴奏などの新しい試みあり、 演奏曲目も伝統曲から現代曲まで多彩。 案内役はモンゴル大使館の通訳の方。 ホームページ
バッハ・コレギウム・ジャパン 第47回定演 2001/04/13 東京オペラシティ コンサートホール [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.Ch.デマンツィウス: イエス・キリストの受難と死の預言/ヨハネ受難曲、 H.シュッツ: マタイ受難曲SWV479
♪恒例の聖金曜日公演。前半のデマンツィウスはオルガン伴奏のみ、 後半のシュッツではそれすらない声楽のみのステージ。 響きはやや単調ではあったが、バッハの背景を知るよい経験になった。 メンバー揃って黒服で登場したことや、 福音史家の櫻田さんが音叉で確認しつつ歌い出していたことが印象的。 パンフレットの体裁が変わり、内容的にはよくなったが、 価格まで上げてしまった(700円)のは戴けない。
折々の会 第12回サロンコンサート
「バロックアンサンブルの楽しみ」
2000/03/24 東松山市北地区市民活動センター アンサンブル・レクィロ: 稲葉由紀(flute), 松永綾子(violin), 高群輝夫(violoncello), 渡邊孝(cembalo) [曲]J.S.バッハ: 音楽の捧げ物〜3/6声のリチェルカーレとトリオソナタc, テレマン: パリ四重曲集〜協奏曲第2番D, G.F.ヘンデル: ヴァイオリン・ソナタD, C.P.E.バッハ: トリオソナタd
♪ 若手古楽器奏者による白熱のバロック室内楽。 私好みの後期バロックのプログラムで、 とりわけバッハ父子の作品は期待を上回るもの。 主催の横田ハープシコード工房様のご厚意で、 ゲネプロから聴かせて頂き、更には演奏者の方々と少しお話までさせて頂いた。 有難い体験。 詳細
バッハ・コレギウム・ジャパン 第46回定演 2001/03/17 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-I [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr. 153, 181, 144, 154, 73
♪1724年のカンタータに突入。 いつものように大オルガンによる序奏(BWV537)から。 次のコラール編曲(BWV741)を小オルガン2台で演奏して、 そのままカンタータ演奏に入ったのは、新しい試み。 合唱も含め声楽陣も会心の出来で、 特にテュルクとブレイズのデュオにはうっとり。 華やかなアンコール(BWV181終曲)も嬉しい限り。 詳細
ザ・ハープ・コンソート 2001/03/15 カザルス・ホール A.ローレンス=キング(harp, psaltery), S.プレイヤー(dance, guitar, bagpipes), C.サナブラス(voice, guitar), H.パール(viola da gamba, guitar), T.イーレンフェルト(guitar, theorbo, trombone), M.メツラー(percussions)
♪「スパニッシュ・ジプシーズ」と題した、 17世紀イングランドのケルトとスペインの音楽。 熱っぽい即興的な変奏からしみじみと聴かせる歌まで、多彩なプログラム。 それぞれの奏者の見せ場もたっぷりあり、 特にプレイヤー氏のライヴ・パフォーマンスには聴衆一同大喜び。 詳細
彩の国グレート・バッハ・シリーズ/音楽の捧げ物 2001/01/07 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール 前田りり子(flute), 若松夏美(violin), 高田あずみ(violin/viola), 鈴木秀美(violoncello), 鈴木雅明(cembalo), 広沢麻美(cembalo) [曲]J.S.バッハ: トリオソナタBWV525, 14のカノンBWV1087, カノン変奏曲BWV769, 音楽の捧げ物BWV1079
♪BCJ器楽メンバーによる、バッハの特殊作品を核としたプログラム。 工夫の凝らされた構成は、聴き手にも心地好い緊張感を喚起するもの。 とりわけ無限カノンや螺旋カノンでの音楽上の演出は心憎いばかり。 曲目が曲目だけに客層も高かった模様で、 21世紀の幕開けにふさわしい濃密な2時間半だった。 しかも終演後、外は雪というおまけ付き。 詳細

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(紺野裕幸)

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