コンサート寸評 2003年

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2003
タイトル 日付 会場 データ、感想
名古屋大学ギターマンドリンクラブ 第46回定期演奏会 2003/12/27 しらかわホール [曲目] 吉水秀徳: 序曲、遠藤秀安: 懶(らん)、 D.Berutti: ハンガリアの黄昏、帰山栄治: Ouverture Historique No.2、他
♪後輩たちの演奏を、久し振りに聴きに出かけた。 予想外に演奏レベルが高く、目当てのカエリヤマ作品も感動モノの熱演。 他の曲の出来栄えも含めて、これは技術顧問による指導の賜物だろうか。 美しいホールには、客の入りも上々。 衰退の一途にあるかと思っていた古巣の、意外な隆盛を目の当たりにして、 私は嬉しくて仕方なかった。
ジェラール・レーヌ&イル・セミナリオ・ムジカーレ 2003/12/05 Hakuju Hall [曲目] G.B.ペルゴレージ: サルヴェ・レジーナ、 A.スカルラッティ: 深き闇の中から A.ヴィヴァルディ: スターバト・マーテル、他
♪ レーヌ(カウンターテナー)の歌は、 BCJとの共演(1998)ではあまりよい印象でなかったのだが、 今回は本当に素晴らしかった。 無理が全くなく滑らかで表現豊かな歌声は、 特に弱音のロングトーンの美しさは忘れ難いもの。 器楽陣は弦楽4人と鍵盤の編成で、やはり抑揚に富んで美しく一体感あり。 大好きなVivaldiのStabat Materなど、曲目も文句なし。 開館したばかりのHakuju Hallは、不規則な曲線を多用した内装が面白い。
折々の会 第23回サロンコンサート
『クラヴサン音楽の100年』 フランス・チェンバロ音楽の夕べ
2003/11/29 東松山市平野市民活動センター [演奏] 上薗未佳(チェンバロ)、原雅己(ソプラノ) [曲目]J.シャンボニエール、L.クープラン、M.ランベール、 F.クープラン、J-B.リュリ、J-B.フォルクレの作品
♪横田誠三作の2台の楽器を使い分けて楽しむ、クラヴサン音楽の全盛期。 選曲はかなり愛好者向けで、前半後半で作曲年代を分けていたにも関わらず その違いが必ずしも明快に感じられなかった気はするが、 クラヴサンの最も美しい響きをたっぷりと堪能できた。 とりわけ収穫だったのが、(私は初めて聴く)ランベールの宮廷歌曲で、 憂い漂う曲調にうっとり。アンコールのJe te veuxも嬉しい。
アントネッロ イタリア音楽350年の歴史 2003/11/21 東京オペラシティ リサイタルホール [演奏]アントネッロ: 石川かおり(フィーデル/ヴィオラ・ダ・ガンバ)、 西山まりえ(ハープ/チェンバロ)、 ラファエル・ボナヴィータ(中世リュート/ギター)、 濱田芳通(リコーダー/コルネット) [ゲスト]七条信明(テノール)
♪ 1370〜1720年のイタリア音楽の変遷を、時系列に沿って辿る試み。 作曲家の大半は私の聞いたことのない人だったが、 音楽は思わず身を乗り出したくなるほどの愉悦感に溢れており、 特に軽快な舞曲風の曲が絶好。 奏者それぞれが何台もの楽器を操るのは見ているだけでも楽しく、 ゲストの七条クン(若い!)もイイ感じ。
花てまりwith吉武まつ子 秋の宵コンサート 2003/11/03 埼玉伝統工芸会館 [演奏]花てまり: 後藤直(フルート)、後藤幹(箏) [ゲスト]吉武まつ子(メゾソプラノ)、パパトままだ(パーカッション)
♪フルートと箏の姉妹デュオ 花てまり。 前半は2人で、クラシック編曲からポップスまで織り交ぜた選曲。 とりわけオリジナル曲は聞き物で、技巧も凄く曲自体もよい。 2人の歌もあり、調和の美しさにびっくり。 後半はゲスト2人も参加して、「竹取物語」、打楽器の独演、 そして歌の数々(ポピュラー寄りなのはやむなし)。 奏者の方々のお話も楽しく、これで無料とは申し訳ない。
トン・コープマン チェンバロ・リサイタル 2003/10/30 東京カテドラル聖マリア大聖堂 [曲]J.P.スヴェーリンク、W.バード、L.クープラン、P.ブルーナ、 J.J.フローベルガー、D.スカルラッティ、 A.フォルクレ、J.デュフリ、D.ブクステフーデ、H.パーセル、J.S.バッハの作品
♪ 会場の教会は雰囲気はよいもののチェンバロ独奏には広過ぎたが、 幸い最前列の席だったので意外によい音で聴けた。 頷くように首を振る楽しそうな演奏ぶりと、 楽器を鳴らし尽くすように豊かな装飾音は、いつも通り。 様々なスタイルを盛り込んだ選曲にも満足。 楽器は鈴木雅明さん所有のものの由。 アンコールにはフランス組曲5番のサラバンドと、ソレールのソナタ。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第61回定演 2003/10/24 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/「管弦楽組曲」全曲演奏会 [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 序曲C/b/D/D BWV1066-1069、シンフォニアD BWV1045
♪久し振りの器楽プログラム。 第3/4番はトランペット3本とティンパニとオーボエ3本を交えた大編成 (と言っても計18人)で、豪快な響き。 奏者の皆さんが何だかひどく楽しそうで、見ていて羨ましいほど。 堂阪さんのファゴットはいつもながら格好いい。 一方で第2番では、フルートを含めて計7人の極小編成。 舞曲らしい揺らぎ感が心地よく、典雅な雰囲気が漂う。
さだまさしコンサート 2003/09/27 熊谷会館 ツアー2003〜2004「いつも君の味方」
♪ 約2年振りの熊谷公演。 ソロで始まって数曲、やがていつもの最強バンドが合流。 30周年を経て「気を遣うのをやめた」との言葉通りか、 言うべきことをはっきりと言う姿勢に感服するが、 この場ではやや度が過ぎる気も少々。 新アルバムからの数曲を含め、地方公演らしからぬ選曲が嬉しい。 最後に並べた数曲のドラマのような流れには、壮大な映画を見ているかのよう。
美しい夜の音楽 2003/09/19 浜離宮朝日ホール [演奏]エヴリン・タブ(ソプラノ)、 波多野睦美(メゾ・ソプラノ)、つのだたかし(リュート)
♪ 前半がダウランドなどルネッサンス、 後半がモンテヴェルディなどバロックの構成。 それぞれのソロもよかったが、何と言っても二人の声の調和は素晴らしく、 両人の志向するものが完全に一致しており、 これほど美しい二重唱を今まで聴いたことがないと思うほど。 寄り添うようにしっかりと支えるつのださんのリュートにも拍手。 今回やや後方の席しか取れなかったことが悔やまれる。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第60回定演 2003/09/12 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-XI [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.115, 5, 80
♪ オープニングのオルガン独奏(J.G.ヴァルター作品,BWV646,720)は、 演奏するカンタータ3曲とそれぞれ同名のもので、先導ソプラノ付き。 初登場のP.ベルタン(CT)は安定した素晴らしい美声で、 S.リディーン(S)も抑制が効いた歌唱に好感が持てる。 私事だがこの日は自分の誕生日で、BCJの演奏会と重なったのは 1993年以来5年ぶり。感謝。
第19回まさしんぐWORLDコンサート 2003/07/15 さいたま市文化センター ♪ さだまさしファンクラブ会員向けコンサートとしては、歴代初の埼玉公演。 今回は、いつものステージバンドが全く登場しない、完全ソロ公演。 バンドのアンサンブルが聴けないのを残念に思ったのは最初だけで、 これは滅多に無い貴重な機会であった。 様々なギター、様々な奏法、有名曲を殆ど含めない好選曲、 ファン心をくすぐる内容で、 3時間半もあっと言う間に過ぎてしまった。 さださんのギターの腕前の凄さもつくづく思い知らされた。
寺神戸亮≪スピリチュアルな無伴奏ヴァイオリンの夜≫ 2003/06/17 近江楽堂 [演奏]寺神戸亮(バロック・ヴァイオリン) [曲]バルツァー、ヴェストホフ、ビーバー、テレマン、ピゼンデル、J.S.バッハ らの無伴奏作品
♪バッハ以前に作曲された、さまざまな無伴奏ヴァイオリン曲を集めた企画。 こんなに無伴奏曲の系譜があったとは知らなかったし、 しかもどれも相当に聴き応えのあるものばかりで、 バッハ作品が「伝統の中に根ざしたものであった」ことを実感。 アンコールの無伴奏チェロ組曲第6番のガヴォットでは、ミュゼット風奏法(?)も登場。 寺神戸さんの音色はいつもながら伸びやかで極上だが、 お話があまりなかったのだけが残念。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第59回定演 2003/06/14 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-X [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.96, 122, 180、
♪ 冒頭オルガン独奏はBWV535とBWV654(ソプラノ先導)で、 非常な睡眠不足で臨んだ私の眠気も、最初から吹き飛んだ。 今日のBCJは、前回のマタイの不安を一掃する素晴らしい出来で、 リコーダー3本など木管系も絶好、強力な通奏低音が率いる 一体感のあるアンサンブルには心が躍った。 初上場のT.ケンウォージーー=ブラウン(CT)のために、 アリア(BWV24, 39より)も特別演奏。やや曇った温かみのある声に聞き惚れた。
折々の会 第21回サロンコンサート
カテリーナ古楽合奏団 登場!
2003/05/31 東松山市北地区市民活動センター [演奏] 松本雅隆(バグパイプ他)、上野哲生(サントゥール他)、千葉潤之介(ヴィオール他)、 品川治夫(ラケット他)、長井和明(セルパン他)、金子浩(リュート他)
♪ 所狭しと並べられた何十種類もの管・弦・打楽器は見た目も楽しく、 それらを6人のメンバーが自在に操って、 音色も鮮やかに生き生きとした音楽を編み出してゆく。 楽器紹介を含めたお話も楽しいもの。 私はこの日ひどく体調を崩していていたのだが、 無理してでも会場に足を運んでおいて本当によかった。 楽団のホームページ
バッハ・コレギウム・ジャパン 第58回定演 2003/04/18 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/受難節コンサート2003 [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: マタイ受難曲BWV244
♪ 恒例の聖金曜日演奏で、今回は米国ツアーからの凱旋公演。 いつになく激しい演奏で、速い所は猛烈に速く、強い所は猛烈に強く、 時には荒々しい程。劇的な反面、合奏の精度が日頃のBCJに比べるとやや劣り、 連続公演でお疲れなのかも。 そんな中でも、福音史家のテュルクは、いつもながらに至高の朗唱。 それにしても、この曲にブラヴォーを絶叫するのはやめて欲しかった。
折々の会 第20回サロンコンサート
「ベートーヴェンのピアノソナタ 〜ベートーヴェン時代のフォルテピアノを使って〜」
2003/03/29 東松山市北地区市民活動センター [演奏]上尾直毅(フォルテピアノ)、小田透(ヴァイオリン) [曲]L.v.ベートーヴェン: ソナチネ G、 カプリッチョ「失くした小銭への怒り」、 ヴァイオリン・ソナタ第1番 D、 ピアノ・ソナタ「悲愴」「月光」
横田ハープシコード工房 制作によるシュタイン型フォルテピアノを使用。 「月光」の1楽章では、前日に装着したと言うモデレータ装置の威力もあって、 えも言われぬ幻想的な雰囲気。 激しい楽章では、楽器の能力の限界に挑まんばかりの熱烈な演奏で、 往時のベートーヴェンの姿が目に浮かぶよう。 超満員の観客で温度湿度が激変し、楽器の調整は大変そうだった。
パオロ・パンドルフォのバッハ 2003/03/27 津田ホール [演奏]パオロ・パンドルフォ(ヴィオラ・ダ・ガンバ) [曲]J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲(ヴィオラ・ダ・ガンバ版)BWV1010/1011、 K.F.アーベル: 3つの小品
♪待望の再来日公演。 ガンバの音色の奥行きは深く、しかも特に弱音側へのダイナミックレンジは驚異的。 無伴奏チェロ組曲では、CDと同様に(移調し)多少音を補ってあったが、 それがあまりに自然で、弦の余韻のせいもあって、 正直言って原曲よりもむしろよい感じ。時々指で爪弾くガンバの音もよい。 アンコールも4曲大サーヴィス。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第57回定演 2003/02/21 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-IX [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.78, 99, 114
♪先週の印象のせいで、随分小編成に思えたが、いつものBCJ編成であった。 初登場のダニエル・テイラー(カウンターテナー)は、 女性アルトを思わせる滑らかな声質で、声量も豊か。 何度かのソプラノ(野々下)との二重唱にはうっとりさせられた。 人気曲BWV78を含め、トラヴェルソ(前田)の聴かせ所の多いプログラム。 最後に鈴木さんの挨拶(米国公演に向けて)あり。
レザール・フロリサン 2003/02/16 東京オペラシティ コンサートホール [音楽監督・指揮]ウィリアム・クリスティ [管弦楽・合唱]レザール・フロリサン [曲]H.パーセル: 歌劇《妖精の女王》から抜粋、 J.Ph.ラモー: 歌劇《優雅なインドの国々》から第4幕「未開人」
♪ 古楽にしては大編成で、合唱がパート混在で並ぶのがまず目を引く。 演奏は押し並べて素晴らしく、ソリストもまさに粒揃いで、 ちょっとした振り付けも楽しいもの。 いつもながら楽しそうに弾くコンマスのクロサキ氏と、 時々うっとりと歌手を振り返るクリスティ氏のご機嫌な横顔が印象的。 程よい電光字幕もありがたい。
さだまさし 30周年記念コンサート 2003/01/17 大宮ソニックシティ 〜Rainbow Night〜虹
♪2夜連続だが、昨日とは全く違う内容構成。 Piano/Keyboard, E.Guitar, A.Guitar, Marimba/Percussions, E.Bass, Drums の通常の編成バンドで、メンバーはいつもの最強布陣。 曲目については、どちらかと言えば昨日より今日の方が、人気曲を多く含む構成。 舞台演出も含めて見せ場も多く、特にラストの激情モノ3連発は圧巻。
さだまさし 30周年記念コンサート 2003/01/16 大宮ソニックシティ 〜Moon-bow Night〜夜の虹
♪今夜は弦楽四重奏, Oboe, Percussions のバンド編成。 30周年記念ということで、昔の歌から最近のものまで織り交ぜたプログラムで、 有名曲でなくしかも個人的に非常に好きな曲が何曲も登場して、嬉しい限り。 やや惜しいのは、弦も管もマイク経由の大音量にしてあって、 臨場感が損なわれていたこと。せっかくなら生音に近い状態で聴きたかった。
鈴木雅明 チェンバロ・リサイタル 2003/01/11 彩の国さいたま芸術劇場 [曲]J.S.バッハ: 半音階的幻想曲とフーガBWV903、 フーガの技法BWV1080(初期稿)
♪ 謎の多い「フーガの技法」だが、今回は 初期稿の最初の12曲がバッハの当初の構想を反映している、 という説得力ある新説に基づいて演奏。 事前に鈴木さんによるレクチャーがあるのが嬉しい。曲順についても勿論だが、 各々の曲でも初期稿のために耳慣れたものと微妙に違う所が多々あって、新鮮味あり。 ただ個人的には、やはり最後に未完フーガを聴きたかった気もした。

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(紺野裕幸)

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