コンサート寸評 2004年

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2004
タイトル 日付 会場 データ、感想
バッハ・コレギウム・ジャパン 第66回定演 2004/11/30 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/華麗なるコンチェルトの夕べ《Rシリーズ》 [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: チェンバロ協奏曲D BWV1054、 ヴァイオリン協奏曲d BWV1052R、 オーボエ・ダモーレ協奏曲A BWV1055R、 3ヴァイオリン協奏曲D BWV1064R
♪原曲が失われた協奏曲を、チェンバロ協奏曲から復元する試み。 凄腕揃いのBCJ器楽バンドの面目躍如で、 特に寺神戸亮さん独奏によるBWV1052Rは強烈な印象あり。 BWV1064Rは、リピエノ無し説が有力だそうだが、今回はリピエノ付きで演奏。 この辺の事情について、音楽監督ご本人による詳細な説明があり、 アンコールとして実際にトリオ+通奏低音の編成で第1楽章が演奏された。 こう言うサーヴィスが本当に嬉しい。
カエリヤマ・ファイナル・コンサート 2004/11/28 名古屋市民会館中ホール [曲]帰山栄治: YI-ER-SAN(初演)、Ouverture Historique No.2、 協奏詩曲(ヴァイオリン独奏版、初演)、三楽章第5番(初演) [指揮]帰山栄治、酒井国作 [vn]平田文
♪マンドリン界における至高の作曲家・歸山榮治氏による、最後の作品発表会。 私自身も奏者募集に応じて参加させて頂いたのだが、 演奏会本番も、それに先立つ約4ヶ月間の合奏練習も、まさに至福の時であった。 信奉する作曲家の記念公演に参加できた事自体が喜びであったし、 17年振りの「三楽章」シリーズを含む3曲もの初演に立ち会えた事も貴重であったが、 プロの音楽家から直々の合奏指導を集中的に受けた事は、 実に得がたい経験だった。参加して、本当に良かったと思う。 実行委員の皆様に心から感謝したい。 参加記公式サイト
折々の会 第27回サロンコンサート
「韓国古典民族音楽の夕べ」
2004/11/20 東松山市平野市民活動センター [演奏]金栄植(カヤグム)、李守信(タンソ)、朴根鐘(テグム、チャンゴ)、他1名 [曲]韓国古典音楽
♪ 韓国・朝鮮の民族楽器による、本格的な韓国古典音楽。 大雑把に言えば琴と笛と太鼓なのだが、 外観も音色も奏法も、日本のものとは随分と違っているもの。 それぞれの楽器の表現力が豊かで、魅力的な音色のためもあって、 1曲1曲が比較的長い演目であったにも関わらず、全く飽きさせない。 楽器や奏法、更には衣装等についての解説もあって、一層の興味を引き立てられた。 最後には、ゲストを交えての歌(アリランを交えた変奏風)も演じられ、 太い歌声がたまらなくよい。もっと歌も聴きたかった程。
北とぴあ国際音楽祭記念事業2004
「イドメネオ」
2004/11/13 北とぴあ さくらホール [曲]モーツァルト: オペラ「イドメネオ」(演奏会形式) [独唱]J.エルウィス、波多野睦美、高橋薫子、T.ブラーテン、畑儀文 [音楽監督]寺神戸亮 [管弦楽・合唱]レ・ボレアード
♪ モーツァルト自信作のオペラで、3幕構成で約3時間半。 曲自体は、各歌手の見せ場のための音楽と言う印象。 古楽としては比較的大編成の合奏と合唱で、演奏はまずまず。 独唱陣は押し並べて高水準で、 男役(カストラート)を波多野さんが歌うのは面白い試み。 舞台演出がないのを当初は残念に思ったが、 的確な電光字幕のお陰もあって物語の展開がよく分かり、 照明の演出もあって存分に楽しめた。
折々の会 第26回サロンコンサート
「イタリア風協奏曲 VS. フランス風序曲」
2004/09/25 東松山市平野市民活動センター [演奏]古賀裕子(チェンバロ) [曲] J.S.バッハ: 「クラヴィア練習曲集第2巻」 イタリア風協奏曲D・フランス風序曲h、「平均律クラヴィア曲集第2巻」よりD・h
♪ バッハのチェンバロ曲全曲プロジェクトを進行中の気鋭の奏者。 温和な人柄とは対照的に、全体に攻撃的なまでの速度で、しかも大幅な緩急付け。 イタリア協奏曲の冒頭のスピードなどびっくりする程で、 既知の曲でも存分に楽しめた。 使用楽器は、ジルバーマンのモデルによる横田ハープシコード工房の最新作で、 この日がお披露目。2段鍵盤の大型楽器で、装飾が少なく、固めの音色。 古賀さんと横田さん夫妻とは長年の知り合いだった由。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第65回定演 2004/09/17 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-XIV [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.91, 121, 101, 133
♪ 最強メンバーの声楽ソリスト陣、コンチェルト・パラティーノ参加、 金管+ティンパニ、オーボエ3本+トラヴェルソ、など超豪華な編成による公演。 曲は地味ながら演奏は絶好で、 とりわけS+Aの二重唱アリアや凄腕の木管には、心底うっとり。 オープニングには通例のオルガン独奏(ブクステフーデの変奏曲)があり、 後半の始めには(前回同様に)コンチェルト・パラティーノのステージも用意され、 まさに大サーヴィス。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第64回定演 2004/06/24 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-XIII [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.2,135,3,38
♪ 第1部・第2部共に、ゲストの コンチェルト・パラティーノ(コルネットとトロンボーンの4人)の合奏で開幕し、 通例のオルガン独奏(コラールBWV741,727,686、S合唱付き)もあって、 お得な内容。 古様式の厳かな曲調で始まる分だけ、 続くアリア楽章が際立って自由に生き生きと感じられる。 初登場ドロテー・ミールズの抑揚豊かな声(出番が少なくて残念)や、 三宮&尾崎(オーボエ)の妙技には特に耳を奪われた。
第20回 まさしんぐWORLDコンサート 2004/06/11 さいたま市文化センター [指揮]渡辺俊幸 [管弦楽]東京ニューシティ管弦楽団 [ピアノ]倉田信雄
♪ さだまさしファンクラブ会員向けコンサート、 今回は3列目ほぼ中央と絶好の席。 第20回の記念公演にふさわしく、総勢64人のフル・オーケストラ編成で、 開幕と同時に客席にどよめきが。 管弦楽を活かした重厚な演目が並び、 渡辺俊幸さんの自作自演ステージなどもあり、聴き応え十二分の3時間半。 ただ、PAで音を操作し過ぎていて (せっかくの大編成なのに)臨場感がやや損なわれていたのが残念。 歌は仕方ないにせよ、オケは完全な生音で聴きたかった。
グスタフ・レオンハルト チェンバロ・リサイタル 2004/06/04 第一生命ホール 「バッハへの道」 [曲]ベーム、ヴェックマン、パッヘルベル、ケルル、J.S.バッハの作品
♪ バッハに至るドイツものから構成された、地味な曲からなるプログラムで、 アンコール(J.S.バッハ、フィッシャー)も含めて、 全部が短調の(しかも物悲しい雰囲気の)曲で統一。 演奏はいつもながら毅然としたもので、 休憩時間のご本人による調律も今まで通り。 軽やかな指さばきを鍵盤側からじっくり見られたことにも満足。 今回が最後の来日になってしまわないことを切に願う。 ただいつもながら、このホールはチェンバロ独奏には広過ぎると思う。
折々の会 第25回サロンコンサート
クラリネット五重奏曲
2004/05/29 東松山市平野市民活動センター [演奏]ハイヤーフォード弦楽四重奏団(小田透、小田瑠奈、山廣みほ、室野良史)、 坂本徹(バセット・クラリネット) [曲]ハイドン: 弦楽四重奏曲第67番「ひばり」、 モーツァルト: 弦楽四重奏曲「ハイドンセット第5番」K464、クラリネット五重奏曲K581
♪ 前半は弦楽四重奏。 時代楽器の澄んだ調和音と溌剌とした演奏ぶりが絶好。 後半は復元されたバセット・クラリネットが登場。 奏者ご自身の製作によるもので、末端が直角に曲がって太くなっているのが特徴だが、 見た目以上に、包み込むような音色の魅力は強烈。 元々モーツァルトは得意でない私だが、 この素晴らしい演奏には、思わず身を乗り出してしまう程。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第63回定演 2004/05/21 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/復活祭&昇天祭のカンタータ [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 復活祭オラトリオBWV249、昇天祭オラトリオBWV11
♪ 通例のオルガン独奏(トッカータBWV564)で開幕。 トランペット3本とティンパニを交えた、歓喜爆発型の2曲。 合唱はいつもより多少大きめ(と言っても小編成だが)で、物凄い迫力。 華麗な曲の間に挟まれたトラヴェルソ付きのアリアが好対照で美しい。 初登場のパトリック・ファン・フーテム(CT)は、やや堅いが無理のない美声で、 先月に引き続き登場のヤン・コボウ(T)の表情豊かな歌もよい。
大島保克 島唄〜一人唄会〜 2004/04/21 北沢タウンホール [演奏]大島保克(うた、三線)
♪ 石垣島出身の島唄歌手のライヴを初体験。 前半に八重山民謡、後半に沖縄本島の民謡とオリジナル曲。 若いのに老成された声は、生で聴くとやはりたまらなくよいもので、 とりわけ無伴奏から始まる「とぅばらーま」など圧巻。 CDで馴染みのオリジナル曲も、三線一本で聴くと新鮮味があった。 曲間のお話に滲み出る気取らない人柄にも好感。 予想外の満席と客層の若さには内心びっくり。 休憩時間には泡盛のサービスあり(私は下戸で残念)。
彩の国大バッハ・シリーズ《マタイ受難曲》 2004/04/09 彩の国さいたま芸術劇場 [演奏]バッハ・コレギウム・ジャパン [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: マタイ受難曲BWV244
♪恒例の聖金曜日公演。 今回はほぼ最小編成の管弦楽と合唱による演奏。 合唱の一体感が際立っていて、激動的と神秘的な部分の対比も鮮やか。 福音史家のヤン・コボウの抑揚のあるやや早口の語り口にも好感が持て、 波多野睦美さんのErbarme dichが聴けたことなど本当に夢のよう。 冒頭合唱のS+A二人によるコラールのバランスも絶好で、 これまで(BCJを含め)数多く聴いたマタイの中でも、最上と思われる演奏。
折々の会 第24回サロンコンサート
琵琶・笙・篳篥で語る『耳なし芳一』
2004/03/27 東松山市平野市民活動センター [演奏]首藤久美子(薩摩琵琶)、田島和枝(笙)、小林勝幸(篳篥) [曲]吉水経和/鶴田錦史「那須与一」、雅楽古典曲「双調調子」、 稲田和浩/高橋久美子「耳なし芳一」
♪雅楽器の笙・篳篥と、実は時代も背景も異なる薩摩琵琶との組合せ。 どれも生で聴くのは初めてだが、魂を吸い取られるような音空間を生み出す笙、 見た目よりも音が低く太く雄弁な篳篥、計り知れない表現能力を持った薩摩琵琶、 更に首藤さんの語りと歌の絶妙の節回しにつくづく聞き惚れつつ、 すっかり物語に引き込まれていた。 まさに「こんな演奏が聴きたかった」(主催者の横田さん談)。 典雅な衣装も雰囲気抜群。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第62回定演 2004/03/21 東京オペラシティ コンサートホール J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ〜ライプツィヒ1724年-XII [音楽監督]鈴木雅明 [曲]J.S.バッハ: 教会カンタータNr.139, 26, 200, 116, 62
♪5ヶ月振りのBCJ定期公演。重厚なコラール(BWV644, 659〜661) のオルガン独奏(ソプラノ合唱付き)で開始。 いつもながらに集中度の高い演奏で、 特にBWV26や62での緊迫感は凄みがあった。 後半の冒頭には、鈴木雅明氏による挨拶(今日はバッハの誕生日)と、 ロビン・ブレイズ氏(CT)を引き立ててBWV200アリアの特別演奏あり。 アンコール(BWV26終曲)もあって、更に得した気分。

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(紺野裕幸)

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