映画寸評 1998年

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1998年 私的ベスト3: ラヴソング宋家の三姉妹がんばっていきまっしょい、 (次点)ブラス!


◎=絶賛 ○=よい
1998
タイトル データ 鑑賞日 感想
アンナ・マデリーナ (安娜瑪徳蓮娜) 1998香港 (監)ハイ・チョンマン (出)金城武、ケリー・チャン、アーロン・クォック、レスリー・チャン、アニタ・ユン、エリック・ツァン 1998/12/22 ○ 内気なピアノ調律師の切ない片思い。 彼が密かに想いを寄せる女性は、彼の友人に恋していた。 届かない想いはやがて、幻の愛の物語へと昇華してゆく。 サイドストーリーにも超豪華なキャスト。 バッハの(実は真作ではないが)メヌエットを軸とした音楽もよい。
宋家の三姉妹 (宋家皇朝) 1997香港=日本 (監)メイビル・チャン (出)マギー・チャン、ミシェール・ヨー、ヴィヴィアン・ウー、ウィンストン・チャオ、ウー・シングォ、チャン・ウェン、エイレン・チン 1998/12/15 ◎ 今世紀初頭の中国、進歩的な家に生まれ育った三人姉妹が、 それぞれ大財閥・孔、革命家・孫文、軍人・蒋介石に嫁いだことによって、 激動の時代の奔流に巻き込まれてゆく。 新しい時代への様々な思惑の中で、異なる道を力強く生き抜く姉妹たち。 壮大な感動作。
裏街の聖者 (流氓醫生) 1995香港 (監)リー・チーガイ (出)トニー・レオン、アンディ・ホイ、アレックス・トゥ、チャン・シウチョン、ジジ・レオン、ラウ・チンワン 1998/11/16 ○ 場末の診療所、イイカゲンそうだが腕は確かな町医者と、 彼をとりまく悩める人たちの不器用な生き様。 寅さんを思わせるような、どこか懐かしささえ憶える、 何とも心暖まる人情物語。 初めて行ったキネカ大森「アジア映画専門館」にて。
落下する夕方 1998日本 (監)合津直枝 (出)原田知世、渡部篤郎、菅野美穂、大杉漣 1998/11/14 ○ 恋人から突然別れを告げられた一人の女性が、 悲しみから立ち直って歩き出すまでの三ヶ月。 男の新しい恋人との奇妙な三角関係の中で、 少しづつ知らず知らず変わってゆく心模様を、 静かな淡々とした映像の中に丁寧に綴ってゆく。
がんばっていきまっしょい 1998日本 (監)磯村一路 (出)田中麗奈、清水真美、葵若菜、真野きりな、久積絵夢、中嶋朋子 1998/10/28 ◎ 弱体の女子ボート部に、一心に打ち込む高校生たちの青春の輝き。 運動部でも文化部でも、燃焼した時期のある人なら誰でも、 主人公たちの気持ちは実によく分かるだろう。 競技の場面、スクリーン上の観衆と共に、心の中で本気で応援している自分がいた。 関連サイト
学校III 1998日本 (監)山田洋次 (出)大竹しのぶ、小林稔侍、黒田勇樹、寺田農、ケーシー高峰、笹野高史、 余貴美子、さだまさし、田中邦衛 1998/10/18 ○ リストラなどで失業したさまざまな境遇の人々が集う職業訓練校。 まさにこの時代を象徴するかのような舞台で、奮闘する中年サラリーマンたちの悲喜。 個人的には世代が近い前作・前々作の方が泣けたが、何れにせよ感動作。 関連サイト
愛を乞うひと 1998日本 (監)平山秀幸 (出)原田美枝子、中井貴一、野波麻帆 1998/10/10 ○ 「愛し方を知らない母と、愛され方を知らない娘。」 母親から心身共にひどく痛めつけられた過去を持つ女性が、 父親の遺骨を探す旅を通じて、自分を見つめてゆく。 どうしてそこまで娘を虐待するのか理解できないものの、 それを乗り越えてゆく主人公の姿には救われる。
ムトゥ 踊るマハラジャ 1995インド (監)K.S.ラヴィクマール (出)ラジニカーント、ミーナ 1998/10/01 ◎ 評判通りの究極の娯楽映画。 早い話が勧善懲悪ヒーロードタバタ喜劇だが、 それこそ何でもありのコテコテ状態で、とにかく楽しめることこの上なく、 後で思い出しただけでも元気が出そうだ。 この日、雨上がりの渋谷の町を、ひとりニヤニヤしながら歩いていたのは私です。
河 (河流) 1997台湾 (監)ツァイ・ミンリャン (出)リー・カンション、ミャオ・ティエン、ルー・シアオリン 1998/09/21 ○ 同性愛の巣窟に通う夫、愛人と逢引きを重ねる妻、そして失業中の息子、 雨漏りのひどいアパート。 崩壊し切った家族関係も、皮肉にも息子の奇病を機に変化し始める。 あまりにも日常的な生活の中の、現代的な歪みと悲しみ。
グラン・ブルー (オリジナル・ヴァージョン) 1988フランス (監)リュック・ベッソン (出)ジャン・マルク・バール、ジャン・レノ、ロザンナ・アークェット 1998/09/12 ○ 潜水記録に挑む幼なじみのライバル同士の友情。 しかし、際限のない記録争いの中で、その関係から何かが失われてゆく。 画面一杯に拡がる哀しいほどの海の青は感動的だが、 物語自体は特に感動ものとも思えず。
アルテミシア 1997フランス=イタリア (監)アニエス・メルレ (出)ヴァレンティナ・チェルヴィ、ミシェル・セロー、ミキ・マノイロヴィチ 1998/07/15 ○ 女性が画家になることが認められなかったバロック期のイタリアで、 強引なまでに意志的に生きた女流画家アルテミジアの半生。 主人公の心境の変化が、直截的描写に埋もれてしまった感あり。
プライド 運命の瞬間 1998日本 (監)伊藤俊也 (出)津川雅彦、スコット・ウィルソン、ロニー・コックス、 大鶴義丹、戸田菜穂、スレッシュ・オビロイ、アンヌパム・ケール、 奥田瑛二、いしだあゆみ 1998/07/02 ○ 招待券をもらった。 東京裁判での東條英機の闘いを描く、重厚な作品。 多分に美化されている部分はあろうが、 茶番とまでは言わないまでも、公正なる裁判とは程遠いものであったのも事実だろう。 それを許した時代の恐ろしさ。
桜桃の味 1997イラン (監)アッバス・キアロスタミ (出)ホマユン・エルシャルディ、アブドルホセイン・バゲリ、 アリ・モラディ、ホセイン・ヌーリ 1998/06/19 ○ 自殺を考え続ける男が見つめる「死」の世界と、 夕焼けの美しさ、季節の果物の味、 そんなささやかなものを重ねてできている「生」の世界。 見方を変えれば世界が変わる。 奇しくも《桜桃忌》に見た、淡々と深い、生きることへの讃歌。
卓球温泉 1998日本 (監)山川元 (出)松坂慶子、蟹江敬三、牧瀬里穂 1998/05/31 ○ 日常に忙殺される平凡な主婦が企てた、ささやかな家出。 たどり着いた場末の温泉町が、彼女の提案をきっかけに、活気を取り戻してゆく。 題名通り、のんびり、ほのぼの、幸せ気分。
ラブ・レター 1998日本 (監)森崎東 (出)中井貴一、耿忠、山本太郎、大地康雄、根津甚八、倍賞美津子 1998/05/25 理由もなく引き受けただけの、中国人女性との偽装結婚。 しかし、急死したその女性が残した遺書には、感謝の意が溢れていた。 中井貴一がワルに見えないのが難点で、 映画としては手紙の文面の重みだけに頼り過ぎ。
四月物語 1998日本 (監)岩井俊二 (出)松たか子、田辺誠一、加藤和彦、藤井かほり 1998/04/10 ◎ 東京で一人暮らしを始めた女学生の初々しい毎日を、爽やかに綴る。 短いながら、ホッとさせられるような、甘酸っぱい好篇。 自分が一人暮らしを始めた頃の気持ちを思い起こしてしまった。 関連サイト
ビーン 1997イギリス (監)メル・スミス (出)ローワン・アトキンソン、ピーター・マックニコル、パメラ・リード、ハリス・ユーリン 1998/03/28 ○ 徹底的にバカバカしいMr.ビーンの行動には、抱腹絶倒。 TVシリーズでは見られなかった、初めて見るMr.ビーンの人間的側面も。 ただ、面白さではTVシリーズの方が上かも。 エンドロールの最後まで見よう。
HANA-BI 1997日本 (監)北野武 (出)ビートたけし、岸本加世子、大杉漣、寺島進 1998/03/16 ○ 生きるということのさまざまな哀しみを、 静逸と激情とユーモアの交錯を通して描く。 テーマは重く深遠っぽいが、頻発する暴力シーンはちょっと苦手系。 関連サイト
ポネット 1996フランス (監)ジャック・ドワイヨン (出)ヴィクトワール・ティヴィゾル、グザヴィエ・ボーヴォワ、クレール・ヌブー、マリー・トランティニャン 1998/03/13 ○ 4歳の少女が、母親の死という悲しみを受け入れるまでの過程。 無垢の信心が奇跡を呼び起こす。 主演の少女(実際に4歳)の迫真の演技は胸を打つ。
ラヴソング (甜蜜蜜) 1996香港 (監)ピーター・チャン (出)レオン・ライ、マギー・チャン、エリック・ツァン、 クリスティ・ヤン、クリストファー・ドイル 1998/03/07 ◎ 中国本土、香港、ニューヨーク。 漂い渡る男女の、出逢い、そしてすれ違い。 大陸出身というコンプレックスを背景に、二人の秘めた寂しさが切々と胸に迫る。 よき時代の香港映画の極めた頂点。文句なしの大傑作。
ブラス! 1996イギリス (監)マーク・ハーマン (出)ピート・ポルスウェイト、ユアン・マクレガー、タラ・フィッツジェラルド 1998/02/22 ◎ 炭坑夫が集う、伝統の誇り高きアマチュアブラスバンド。 しかし、迫り来る炭坑の閉鎖を巡って団員の心は揺れ動く。 高らかに鳴り響く音楽の力強さは、まさに圧巻。
北京原人 1997日本 (監)佐藤純彌 (出)緒形直人、ジョイ・ウォン、片岡礼子、北大路欣也、丹波哲郎 1998/02/01 招待券をもらった。迷作・珍作と呼ぶにふさわしい。 何でこんな映画を作ってしまったのやら???。
虹をつかむ男 南国奮斗篇 1997日本 (監)山田洋次 (出)西田敏行、小泉今日子、吉岡秀隆、哀川翔、倍賞千恵子、松坂慶子 1998/01/16 招待券をもらった。 前作から設定を変えて、一気に南国ラテンムード。「釣りバカ」と混乱しそう。
新・サラリーマン専科 1997日本 (監)朝原雄三 (出)三宅裕司、岸本加世子、左とん平、松下由樹、伊東四朗、森繁久彌 1998/01/16 招待券をもらった。「虹を…」と同時上映。 悪くはないが、ちょっと通俗的なストーリー。

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(紺野裕幸)

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