映画寸評 1999年

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1999年 私的ベスト3: アベックモンマリ八月のクリスマスのど自慢、 (次点)レッド・バイオリン


◎=絶賛 ○=よい
1999
タイトル データ 鑑賞日 感想
風が吹くまま 1999イラン (監)アッバス・キアロスタミ (出)ベーザード・ドーラニー、ファザート・ソラビ 1999/12/23 ○ 人里遠い山あいの集落に、葬儀の撮影にやってきたTV取材班。 しかし目当ての老婆に死はなかなか訪れず、無為な日々に苛立ちが募る。 生と死について、説明的でなく暗示に満ちた物語。 前作「桜桃の味」と同様、後になってジワジワ来そうな気がする。
君のいた永遠 (心動) 1999香港 (監)シルヴィア・チャン (出)金城武、ジジ・リョン、カレン・モク、シルヴィア・チャン 1999/11/11 ○ 想いが叶うかではない。想い続けることこそが美しい。 20年以上もの長い時を経ても、寄せる想いは変わらないままだった。 友情と愛情の間で揺れ動く女二人と男の、悲しさ、切なさ、淋しさ。 特に金城さんの憂いを帯びた表情は本当にいい。 ホームページ
シュウシュウの季節 (天浴) 1998アメリカ (監)ジョアン・チェン (出)ルールー、ロプサン 1999/10/05 中国、文化大革命期。遊牧民の男の元へと派遣された都会の娘。 しかし期限の半年が過ぎても、ついに迎えの車は来なかった。 救いようのない程に、あまりに悲し過ぎる物語。 題材も人もアジアなのに、アメリカ映画的な安易さが見えるのが残念。 ホームページ
スパイシー・ラブスープ (愛情麻辣湯) 1998中国 (監)チャン・ヤン (出)ワン・シェピン、リウ・チエ、チャオ・ミアオ、カオ・ユアンユアン、 シャオ・ピン、シェイ・チンレイ 1999/10/05 ◎ 現代の北京で生活するさまざまな世代の男女の恋愛や結婚を、 時に切なく時に爽やかに描く好篇。 都会に暮らす普通の人々が等身大で登場するために、共感度が高い。 全体を縁取るアジアン・ポップスも場にふさわしく、 随所に出てくる中華料理もおいしそう。
運動靴と赤い金魚 1997イラン (監)マジッド・マジディ (出)ミル=ファロク・ハシェミアン、バハレ・セッデキ、アミル・ナージ 1999/10/11 ◎ 妹の靴をなくしてしまった兄。 家の貧しさを思い、親に言い出せない兄妹は、兄の靴を交替で履くことにする。 兄のために、妹のために、それぞれ必死で走る兄妹の姿に、目頭が熱くなる。 エンディングも絶妙。 ホームページ
Hole (洞) 1998台湾 (監)ツァイ・ミンリャン (出)ヤン・クイメイ、リー・カンシャン、ミャオ・ティエン 1999/09/11 降り止まぬ雨、手に負えない雨漏り、奇病の蔓延。 マンションの床に開いてしまった10cmの穴、 そこ通じて伝わる上階・下階の住人の気配。 どこまでも堕ちてゆく生活の中に訪れる、意外な結幕に救われる。 唐突に挟まる歌謡シーンが斬新。 ホームページ
アルナーチャラム 踊るスーパースター 1997インド (監)スンダルC (出)ラジニカーント、サウンダリヤー、ランバー、センディル 1999/08/28 ○ 単純至極なストーリー、大袈裟この上ない演出、徹底的なバカバカしさ、 もう何でもあり状態、こんなに楽しい映画があっていいのだろうか。 とは言っても、面白さでは「ムトゥ」の方が更に上だった気も。 ホームページ
人間の証明 1977日本 (監)佐藤純弥 (出)松田優作、岡田茉莉子、三船敏郎、ジョー山中、ジョージ・ケネディ、 岩城滉一、鶴田浩二、ハナ肇 1999/08/22 ○ さいたま文学館「森村誠一の証明」での企画上映。 原作の周到な緻密さや社会批判の要素は失われてしまい、 安易な娯楽映画っぽくなってしまったが、それなりに感動はある。
メイド・イン・ホンコン (香港製造) 1997香港 (監)フルーツ・チャン (出)サム・リー、ネイキー・イム、エンバース・リー 1999/07/12 ○ 定職も持たず不良まがいの生活を送る主人公だが、 自殺した少女の遺書を拾ってから、何かが変わり始める。 香港の謂わば下層階級に生きる少年たちの若さと哀しみ、 安らぐ間もなく持続する緊張感に、 中国返還直前の香港の不安感が重なる。
レッド・バイオリン 1998カナダ=イタリア (監)フランソワ・ジラール (出)カルロ・セッチ、イレーネ・グラツィオーリ、クリストフ・コンツェ、 ジェイソン・フレミング、シルヴィア・チャン、サミュエル・ジャクソン 1999/07/12 ◎ 17世紀クレモナで製作され、ドイツ、イギリス、中国、カナダへと旅した ヴァイオリンの名器、それを持った人に降り掛かる様々な出来事。 実を言えば話のタネはすぐに読めてしまったし、音楽の時代様式に不満もあったが、 それを差し引いてもなお鮮烈な印象を残す傑作。 ホームページ
もういちど逢いたくて 星月童話 1999香港 (監)ダニエル・リー (出)レスリー・チャン、常盤貴子、ジャック・カオ、星野有香 1999/06/13 ○ 香港で、死んだ恋人とそっくりな男に出会った女。 その男に亡き恋人の面影を重ねつつ、女の心は複雑に揺れる。 メロウなラヴ・ロマンスだと思っていたら、派手なアクションシーンもあり、 レスリーはいつもながらカッコイイ。 音楽はやや無節操。 ホームページ
八月のクリスマス 1998韓国 (監)ホ・ジノ (出)ハン・ソッキュ、シム・ウナ、シン・グ、イ・ハンウィ、オ・ジヘ、チョン・ミソン 1999/06/05 ◎ 街外れの小さな写真館を営む青年と、客として出会った若い女性の間に、芽生えた恋。 しかし、青年に残された日々は長くはなかった。 青年の穏やかな微笑、女性の清楚な明るさ、もどかしい程に気持を抑えたまの二人。 本当は悲しい物語なのに、とても心が温まる。 ホームページ
洗濯機は俺にまかせろ 1999日本 (監)篠原哲雄 (出)筒井道隆、富田靖子、小林薫、百瀬綾乃 1999/05/31 ○ 東京下町の中古家電屋の出戻り娘、 修理を任されている若い男、ふいにいなくなった先輩社員、 失業中の友人、男に想いを寄せる向かいのパン屋の店員、 何かうまくいかない事を抱えた人たちの、再生への物語。 やさしい気持になれる静かな好篇。
ライフ・イズ・ビューティフル 1998イタリア (監)ロベルト・ベニーニ (出)ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジオ・カンタリーニ、ホルスト・ブッフホルツ、ジュスティーノ・ドゥラーノ 1999/05/09 ○ 幸せの絶頂の中、突然ナチスの強制収容所に連行された親子。 何としても息子の命を守るべく、危険を承知で、徹底的に道化を演じる父親。 いかにもイタリアらしい陽気さの、背後に秘められた哀しみが胸を打つ。 ホームページ
ワンダフルライフ 1999日本 (監)是枝裕和 (出)ARATA、小田エリカ、寺島進、内藤剛志、谷啓、伊勢谷友介 1999/05/04 ○ 誰でも死んだ後、天国への入口で、 自分の人生の中で一番大切な思い出を一つだけ選ばなければならない。 それぞれの人生を振り返る人々と、その作業を手伝う職員との、静かな対話。 私なら何を選ぶことになるだろう。 自分の存在は、他人の記憶にどのように関わるのだろう。 後になって印象の深まる映画。 ホームページ
DOG-FOOD 1999日本 (監)田辺誠一 (出)田辺誠一、椎名英姫、友田誉子、アベディン・モハメッド 1999/05/04 ○ ヴェトナム転勤を一週間後に控え、妻が家を出、飼犬を失い、 何もかもから見放された一人の男。 空虚な日々の中から、大切な何かを見出すまでの心模様を描く。 答えの見えない、どうしようもないやるせなさは、痛々しいほど分かる。 ホームページ
大阪物語 1999日本 (監)市川準 (出)池脇千鶴、沢田研二、田中裕子、南野公助、中野敬祐、小林麻子 1999/04/16 ○ 冴えない夫婦漫才師を親に持つ14歳の少女。 両親の離婚、そして父親の突然の失踪。父を探す旅で出会った人々との交わり。 大阪らしい空気の中で、多感な少女の心の揺らぎがしみじみと伝わる。 関連ページ
コキーユ 貝殻 1998日本 (監)中原俊 (出)小林薫、風吹ジュン、益岡三章、吉村実子、金久美子、浜丘麻矢 1999/04/03 ○ 届かなかった想いを秘めたまま、同窓会で30年ぶりに再会した男女。 過ぎ去った日々を変えることができない分だけ、 思い出を辿るように二人の想いが結晶してゆく。 懐かしく美しく悲しい恋愛物語。 世代が近かったら、もっと感動したかも知れない。 ホームページ
アベックモンマリ 1998日本 (監)大谷健太郎 (出)小林宏史、板谷由夏、辻香緒里、大杉漣、寺島まゆみ 1999/03/09 ◎ 結婚数年目の、バリバリ仕事をこなす強気の女と、家事なら得意の弱気な男。 夫の浮気疑惑から泥沼の四角関係へ、果して夫婦は離婚の危機を回避できるのか。 こんな夫婦のありかたもあるんだなぁとしみじみ思わせる、 後味も爽やかな好篇。 ホームページ
ボクらはいつも恋してる! 金枝玉葉2 1996香港 (監)ピーター・チャン (出)レスリー・チャン、アニタ・ユン、アニタ・ムイ、チャン・シウチョン、テレサ・リー、エリック・ツァン 1999/02/13 ○ 傑作「君さえいれば 金枝玉葉」の続編。 前作の最後でめでたく恋人同士となった二人だが、新生活は前途多難。 男装、女装、友情、恋愛、異性愛、同性愛??? …前作を上回る♂♀の混乱。 前作を見た人には必見のコメディー。
のど自慢 1998日本 (監)井筒和幸 (出)室井滋、大友康平、伊藤歩、北村和夫、尾藤イサオ、松田美由紀、竹中直人、小林稔侍 1999/02/07 ◎ NHKのど自慢が、我が町にやって来る。 売れない演歌歌手、災難続きでもめげないパパ、 素直になれない女子高生、ガンコなじいさん…、 さまざまな人生を抱えた人々の、それぞれの思いの限りを込めた歌の数々に、 もう泣けて泣けて仕方なかった。 笑いあり涙ありの快作。

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(紺野裕幸)

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