美術館寸評 2002年

prev2001年←  index索引  →prev2003年


◎=絶賛 ○=よい
2002
タイトル 場所・会場 日付 内容・感想
横尾忠則 森羅万象 東京都現代美術館 2002/09/14 ◎ どぎつい色彩と劇的な描写はどれも強烈で濃密、しかも膨大な量の展示。 ポスターデザインから版画・絵画に至る作品群から発散されるエネルギーは ひたすら圧倒的で、近作「Y字路」シリーズに至っては本当に目が回りそうだった。 常設展は「日本の美術、世界の美術−この50年の歩み」と題して、 部屋毎にテーマを区切って展示。横尾氏の後では、どれも安らいで見える。 横尾氏主演の映画「新宿泥棒日記」(1969年、大島渚監督) の企画上映もあり、これはかなり変態系で疲れた。 ホームページ
諏訪市美術館 長野県・諏訪市 2002/08/01 特別展「池口史子の世界展」では、緑色の霧がかかったような色合いで アメリカの街の風景や花などを描いた大型の絵画を多数展示。 常設展示は日本画、近代洋画、陶磁器や漆器などが混在し、 中にはマティスのデッサンなどもあり。 館内には冷房がなく(扇風機だけ)、折からの炎天下、 どうにも蒸し暑くて落ち着いて見て居られなかった。 ホームページ
ハーモ美術館 長野県・下諏訪町 2002/08/01 ◎ 5年振り2度目の来訪。 従来の本館の横にティーセントホールという2階吹き抜けの空間が新設され、 常設展示中はそこにて。1階ではルソーやモーゼスなど素朴派の展示。 2階の回廊ではルオーの版画作品を30点ほど並べてあって、 場の良さもあって実によい雰囲気。ここを立ち去るのが惜しくて仕方ない程だった。 本館では企画展「手塚治虫展」を開催中だったが、 マンガにどうも興味のない私にはあまり楽しめず。 ホームページ
諏訪市原田泰治美術館 長野県・諏訪市 2002/08/01 ○ 4年ぶり2度目の来訪。 企画展は「風うたい風えがく」と題して、 さだまさしと原田さんが二人旅して歌と絵をつくった際の作品5点を展示。 さださん側の仕事が伺えないのが惜しい。 他に「佐藤領江子絵画キルトの世界」として、 原田さんの絵を布と糸で縫い上げた作品群。 想像を絶する細かい仕事によるもので、しかも作者が素人と知って驚愕。 常設展示には原田さんが米国で描いた大型作品2点も含む。 喫茶室からの諏訪湖の眺望も相変わらず絶好。 ホームページ
清里現代美術館 山梨県・高根町清里 2002/07/31 ○ ヨーゼフ・ボイスを契機とした戦後の現代美術に焦点を絞った、 コンセプト性の強い個人美術館。 他にライナー、前衛芸術家集団フルクサス、デュシャン、菅木志雄などの展示があり。 とりわけ面白かったのはジョン・ケージのコーナーで、有名な4'33''の譜面(?)や、 ピアノ協奏曲の図形楽譜の展示などに加え、実際の音も聴かせてくれる。 建物自体も非常に凝った構造。 たまたま館長・伊藤さんから色々とお話を聞かせてもらえたことも、実に幸運だった。 ホームページ
マグリット展 Bunkamura ザ・ミュージアム 2002/07/29 ○ ベルギー王立美術館の監修による回顧展。 1994年のマグリット展(三越美術館)に比べるとやや小規模ながら、 質的にはなかなか充実した展示で、 現実と非現実を巡ってマグリットが仕掛けた「謎」の数々を、 存分に楽しませてくれる。 絵画90点ほどに加えて、マグリット本人が撮影した映画(?)の上映もあり。 平日のせいか混雑もそれほどでなく、じっくり見られたのもありがたい。 ホームページ
知覧特攻平和会館 鹿児島・知覧町 2002/07/14 ◎ 特攻兵士たちの写真や遺書、遺品、戦闘機、戦史記録などの資料を展示する記念館。 さだまさし「兵士の手紙ときよしこの夜」(1995)を聴いて以来の、 念願の場所であった。 厳粛なる展示が続くが、とりわけ数々の遺書に込められた複雑な想いや、 鳥浜トメさんの語りは、ずっしりと重く胸に堪えた。 ガイドレシーバーを耳に数時間は居ても、まだまだ見切れない気がした。 広島や長崎にも匹敵する、必見の場所と思う。 ホームページ
埼玉伝統工芸会館 埼玉・小川町 2002/05/18 特別展示「いのちのかがやき・築地恵美子/口で描く」は、 体の自由を失い、口にくわえた筆で描いた花の絵。 水彩で精細かつ可憐に描かれ、各々に添えた文章にもあたたか味がある。 ギャラリーの「イリス・ホイアイス/和紙油彩画展」は、 和紙に描いたり和紙をコラージュした抽象作品で、 何だか訳は分からないが、結構よい。 他に「源氏物語絵巻展」で創作和紙人形の展示もあり。 ホームページ
美術館物語 埼玉県立近代美術館 2002/05/05 ◎ 開館20周年記念として、20年間の歩みを紹介すると共に、 美術館の「仕事」の全貌を紹介。 絵の入手から、保管、鑑定、修復、搬入・搬出、展示方法の如何、 ポスター、内部資料、等々を大公開。 部外者にはまず知る機会のない美術館の舞台裏に、興味は尽きない。 美術館への親近感を倍増させてくれる、素晴らしい企画だった。 常設展示もパワーアップで、充実度満点。 ホームページ
福岡アジア美術館 福岡市・中洲川端 2002/05/03 ◎ 「第2回福岡トリエンナーレ」開催中で、 現代アジアの前衛美術を全館を挙げて公開。 普通の「美術」っぽい概念を超越した、とにかく楽しい展示が盛り沢山。 面白いもの、深刻なもの、訳の分からないもの、観衆に参加を促すものなど、 それこそ何でもありで、この混沌さが現代のアジアそのものなのかも。 この種の会場に来たのは初めてだが、こんなに面白いものとは思わなかった。 ホームページ
福岡市美術館 福岡市・大濠公園 2002/05/03 ○ まず入口前の草間彌生の巨大なカボチャが目を引く。 メインは2Fの近現代美術展示で、質・量ともにかなりの充実度。 小展示室では郷土の画家や現代日本画の展示などがあり、 加えて市民ギャラリーでの地元有志による現代アートの祭典、 更には階下の東洋古美術展示も観覧できて、これで入場料200円は安過ぎ。 ただ、全体に監視員が多過ぎて落ち着かないのが難点。 ホームページ
天一美術館 群馬・谷川温泉 2002/04/14 岸田劉生「麗子像」4点をはじめとした近代日本絵画と、 マティスやルオーなどの近代西洋画、 朝鮮〜中国の陶磁器などを収蔵した、小さな個人美術館。 静かな館内はゆったりした空間になっていて、窓の外には谷川岳が拡がる。 帰り際にはハーブティーの接待もあり、 落ち着いた時間を過ごすのにふさわしい雰囲気。 ホームページ
河口湖ミューズ館 山梨・河口湖畔 2002/03/17 人形作家・与勇輝の作品を常設展示。 某歌手のCDジャケットで十年以上前から知ってはいたものの、 現物を生で見たのは初めて。 残念ながら展示点数はあまり多くはない。 殆どの人形が自立している(支え棒などなしに)と言うのには驚いた。 企画展示として葉祥明展も開催中で、 「地雷ではなく花をください」の原画(水彩)を展示。 ホームページ
UKAIオルゴールの森美術館 山梨・河口湖畔 2002/03/16 ○ オルゴールと言うよりは自動演奏装置の館。 ホールでの実演では、打楽器も交えた豪快な音色のもの、 ヴァイオリンを弾いてしまうもの、タイタニック号に載る予定だった現物など、 仰天モノの連続で、しかも最後には弦楽四重奏の生演奏まであり。 別のホールには、爆音の演奏に人形が連動する大掛かりな仕掛けなども。 豪華な庭や建物。よく教育された係員たち。 過去に訪れた同種施設と比べて満足感は断然高い。 ホームページ

home mail
(紺野裕幸)

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送