◎=絶賛 ○=よい
2006 |
タイトル |
場所・会場 |
日付 |
内容・感想 |
ダリ回顧展 |
上野の森美術館 |
2006/12/01 |
○
ダリを集中的に観るのは、1997年の(今は無き三越美術館での)ダリ展以来。
展示作品はアメリカとスペインのダリ・コレクションのもので、
1997年の展覧会とかなり重複しているが、
今回はそれ以外の(一般美術館の)作品が含まれていないため、
また展示作品数が多くないこともあって、
正直言って1997年の方が内容的には充実していたように思う。
とは言っても、初期から最晩年まで、油彩から映像作品まで、
この画家の全貌を一通り網羅している。
そう簡単には捉えられない意味深長な作品群は、やはり面白いもの。
人気は物凄く、開場30分前に到着したのに、既に行列ができ始めていて、
開場時間頃には既に長蛇の列。
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ルソーの見た夢、ルソーに見る夢 |
世田谷美術館 |
2006/11/11 |
○
思ったよりも小規模な展覧会ではあったが、学芸員の企画力が功を奏して、
面白い内容に仕上がっていた。
前半はルソーと、所謂「素朴派」の作品。
ルソー本人の作品は、国内にある二十数点が集められていた。
続く他の素朴派の作品は、正直言ってやや魅力に乏しい。
展示の後半は、近現代の日本人美術家がルソーから受けた影響を見るもの。
洋画は勿論、日本画から芸術写真まで、多様な作品が並べられているが、
ルソーの影響と言う単一主題で繋がっているので、非常に興味深く見られた。
同じ影響といっても、例えば藤田嗣治と横尾忠則とで
その現れ方は全く異なるのが面白い。
最後に非常に好きな有元利夫作品が並んでいたのも嬉しい。
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横田滋写真展「めぐみさん・家族と過ごした13年」 |
八木橋カトレアホール |
2006/10/01 |
○
地元・熊谷の八木橋デパートで開催。
父親の愛情が滲み出るような、
しかしそれ自体は何と言うこともない普通の家族写真が、
めぐみさんの誕生から始まって時系列に並べられている。
足を進めながら、刻々と「その日」が近付いて来るにつれて、
胸が締め付けられるような思いがした。
どうしてこんな事態になってしまったのか。
そして、どうして今なおこんな状態が続いているのか。
横田めぐみさんが私とほぼ同世代であることを考えると、
なおさら他人事でなく思えて、何ともやり切れない。
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マンダラ展 チベット・ネパールの仏たち |
埼玉県立近代美術館 |
2006/09/16 |
◎
チベット、ネパール、中国、モンゴルの現代の仏教美術を集成。
仏教美術と言っても、日本での静謐なイメージとは全く逆の、
鮮やかで生々しく劇的でグロテスクなものばかり。
作品の大半は20世紀の作品で、つまりはアジア現代アートの展覧会とも言える。
どれも面白い展示物ばかりだったが、
特にネパールの微細極まりない濃密なマンダラ図の構成美には、
魂を吸い込まれるような魅力があった。こんなのが家にあったらどんなによいだろう。
分類が非常に分かり易く、しかも明快な解説が添えられているのが有り難い。
展示方法にも意気込みが感じられ、
特に高低を変えて宙吊りにした仏画パネルの展示など、
マンダラの意図するところをよく知らしめようとしていた。
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エコール・ド・パリ展 |
松岡美術館 |
2006/08/27 |
○
初めて行った美術館。収集傾向はなかなか変わっていて、
紀元前何十世紀の古代石像の隣の部屋には20世紀彫刻が、
その隣の部屋には仏像やヒンズー教の神が、と言ったように、
時代も場所もかけ離れたものたちが一堂に会しているのが何とも不思議。
目当ての「エコール・ド・パリ展」は、
キスリング、シャガール、ピカソ、モディリアーニなどや、
同時代の画家たちの画家の作品も含めて、作品数は多くはないものの、
なかなか充実した展示内容。
特に私にとっては、長らく好きなルオーの2点や、
最近の関心のある藤田嗣治の2点など、わざわざ足を運ぶのに値するものだった。
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武満徹Visions in Time展 |
東京オペラシティ アートギャラリー |
2006/04/14 |
作曲家・武満徹の没後10年を記念した展覧会。
作品の自筆楽譜(美しい!)や、
武満が直接間接に影響を受けたり影響を及ぼしたりした絵画
(武満自身による絵の展示も)や映像など
実に色々なジャンルのものが展示されている。
「November Steps」のスコアの琵琶と尺八のパートなど、興味深いもの。
前衛的な映像作品や、音楽を担当した映画のポスター、
更には武満自身が描いた絵なども展示されていた。
内容的に広範囲に分散気味の展示内容ではあったが、
それはそのまま武満の影響範囲の広さを物語っているのであった。
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パリを魅了した異邦人 藤田嗣治展 |
東京国立近代美術館 |
2006/04/14 |
◎
近藤史人氏による評伝(→2005/02/10)
を読んで以来の、念願の展覧会。
最初期から最晩年までの百点弱の作品によって、画家の全貌を紹介する。
徹底的な筆さばきの細かさ、油絵とは思えない絵具の薄さ、
(特に安定期の作品の)洗練された雰囲気など、
やはり現物を見てこそ実感できるもの。
一転して濃い彩色の中南米時代や戦時中の作品によって、
画家が追求し続けたものの軌跡を知ることもできた。
所蔵作品展(常設展示)では近代の邦人画家の作品を多く展示。
これを観て改めて、同時代の中での藤田作品の突出した洗練度を感じた。
更には工芸館も含めて、非常に見応えがあった。
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銅版画家 長谷川潔展 作品のひみつ |
横浜美術館 |
2006/03/27 |
◎
数週間前のNHK「新日曜美術館」で見てからずっと気になっていた展覧会。
黒白または白黒の細密極まりない銅版画には、
張り詰めた静寂の中に、深い精神性が漂う。
特に「マニエール・ノワール」の闇に浮かぶ意味深長な静物には、
一点一点吸い込まれるように惹き付けられた。
展示点数はすこぶる多く、銅版画以外にも木版画や油彩等の作品も並び、
絵に描き込まれた小物類や、銅版の現物も展示され、
美術館としての意気込みが強く感じられた。
TVのせいか最終日のせいか人気は高く、何と図録も完売の由。
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パウル・クレー展 |
大丸ミュージアム東京 |
2006/02/26 |
○
具象とも抽象とも取れるような、静かで穏やかな作風の絵。
あちこちの美術館で見ては、好きな傾向だと思っていたが、
まとまった量の作品を観たのは、今回が初めて。
初期の線描っぽいものから病魔を押して制作を続けた最晩年に至るまで、
画家の全貌が系統立てて展示され、
様々な技法や画材を意欲的に試みてきた人だという事も分かった。
特にチラシにも使われていた『眼』など、行ったり戻ったりして
何度も観てしまった程。
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